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No.03「高松塚古墳壁画が語る歴史のロマン」

JFE-TEC News No.03号 高松塚古墳壁画が語る歴史のロマン 他 記事一覧

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No.03(2005年04月)
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No.03 高松塚古墳壁画が語る歴史のロマン 他

高松塚古墳壁画が語る歴史のロマン

下の図は、高松塚古墳西壁の女子群像写真をイメージング分光と呼ばれる2次元分光技術を用いて当社にて測定して得られた分光スペクトルです。
一つ一つの点では単なる分光スペクトルに過ぎませんが、画像全体では15万点以上もあるこれらのスペクトルデータから、ある特長をもった情報だけを取り出してマッピングします。退色して見えなくなってしまった線や下地模様などを画像として可視化したり、どの様な絵の具素材がどの部分に使われているかを2次元的に表示したりすることが可能になります。
同じ高松塚古墳壁画に描かれた青龍に、ある特定波長の光を照射して出てくる光(蛍光)を分光測定した結果、清龍の絵の具素材と日本では瑠璃(るり)と呼ばれ昔から珍重されているラピスラズリ(英語名ウルトラマリーン)の分光測定結果とが相互にとてもよく似た特長を持っていることが分かりました。これより青龍を描いた絵の具はラピスラズリだろうと推定されています。
このラピスラズリはアフガニスタン北部にしか産出しない宝石の一種ですが、古くは紀元前3000年頃の古代エジプト王妃墓や紀元前1350年頃のツタンカーメン王墓の装身具となっていました。また敦煌遺跡では壁画の絵の具にも使われていました。それらと同じ素材が飛鳥の時代でも使われていたとすると、東西交流の歴史を紐解くヒントを与えてくれそうです。19世紀前半、ラピスラズリを人工的に作り出す方法が発見されてからは絵の具素材としての利用は減少したそうですが、ネックレスなどの宝石としては現代でも価値があります。あの深く濃い群青色を見つめながら古代に想いを馳せてみてはいかがでしょうか。
非接触・非破壊で文化財に隠された情報を得ることのできるイメージング分光技術は、歴史の一端を探る先端技術として今注目されています。

図1 高松塚古墳西壁女子群像(「文化庁監修 国宝 高松塚古墳壁画」西壁北側女子群像(2004年6月中央公論美術出版発行)より引用。)
図1 高松塚古墳西壁女子群像
「文化庁監修 国宝 高松塚古墳壁画」西壁北側女子群像(2004年6月中央公論美術出版発行)より引用
図2 黄色の羽織部分の分光スペクトル(図1の写真[A]の部分を使い当社にて測定)
図2 黄色の羽織部分の分光スペクトル(図1の[A]の部分を使い当社にて測定)
図3 袴の茶色部分の分光スペクトル(図1の写真[B]の部分を使い当社にて測定)
図3 袴の茶色部分の分光スペクトル(図1の[B]の部分を使い当社にて測定)

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