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No.03「人を測る(2)」

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人を測る(2)~人の顔はどう見える~

前回ユニークな2次元分光測定機ImSpector(インスペクター)の構造を紹介しましたが、今回は、ImSpectorを用いて人の外側の特長を測る応用例を紹介します。分光測定技術は、その測定された光の波長から対象の特徴を抽出する技術ですが、その中に分光測色技術というものがあります。「分光して色を測る」即ち、光の特定波長の強さから色を定量的に数値化する技術です。人の目は色のわずかな差を見つけ出す能力は非常に優れていて、これを機械化することは到底無理なことです。しかしながら、色の違いを表現する(特に数値化する)ことは苦手で、例えば果物のオレンジと橙を見て色の違いはと尋ねられると、オレンジはオレンジ色で橙は橙色と禅問答のような答えが返ってきます。分光測色技術では、色を定量的に表現するものとして、ある波長の強度から3つの要素を計算し、これを3次元の空間座標上に配列する(表色系と呼びます)ことにより色を定量的に表現しています。そして2つの色の差(色差)は、空間的な距離として定量的に計算されます。

さて、人の外面の測定ということになりますと、わかりやすいものが顔や皮膚の色の測定です。顔の色の測定は、例えば、シミなどの色素の沈着部に対して、化粧水やファンデーションなどの化粧品の効果を表現するためにカラーカメラの画像がよく使われています。しかしながら、カラーカメラは実は映した画像が鮮やかにくっきりと見えるようなフィルターと呼ばれるものがかかっています。また、照明する光源の影響を受けて、その種類により皮膚の色も違って見えます。テレビショッピングで映し出される画像を見て、その商品の効果を鵜呑みにするのは、分光測色技術からは推奨できるものではありません。

は、2次元分光器ImSpectorを用いて、皮膚のメラニン色素が沈着した箇所と健全な箇所とのスペクトルを測定したものです。写真では色の差が良く分かりませんが、のようにスペクトル分析では差が歴然とし、健全部の反射率がメラニン沈着部より高く明るい色彩であることを示すとともに、相対的な変化は赤味に影響する長い波長よりも黄色味に影響する500nm付近の反射率の変化が大きいことがわかります。即ち、メラニン色素により失われる色彩は赤味ではなく黄色味であるということになります。2次元分光器ImSpectorは平面に画像化された分光画像から任意の点あるいは領域のスペクトルを抽出することができ、たとえ小さなシミでも、その領域のスペクトルを抽出し測定することができます。また、測定されるスペクトルは、基準白色面を用いることにより光源の種類やスペクトルに影響を受けず、数値化することが可能となります。この2次元分光器を用いた分光測色技術は、印刷やプリンターなど絵柄のある紙面の全体的な色彩評価や小さな領域の色彩の変化を高速で測定する技術として利用されています。

今回は、2次元分光器ImSpectorを用いた顔や皮膚の分光測色技術についてお話をしました。次回は、表面ではなく少し中の状態を調べる分光技術について紹介します。

図 皮膚の分光測定
図 皮膚の分光測定

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