SEM(走査電子顕微鏡)は試料表面の平面形状を観察する電子顕微鏡です。従来、試料の隠れた内部構造を観察する時、FIB(集束イオンビーム加工観察装置)加工や断面研磨により得られる、ある特定断面だけを観察しています。
FIBとSEMとを一つの装置にしたFIB-SEMを用いると、断続的に加工と観察を繰り返し、得られる数百枚のSEM像を専用ソフトウェアで立体的に再構築し、3次元的な構造解析を行うことができます。
断層的な観察を行うことで、折り重なって影で見えない部分の構造や、界面の状態など明瞭に観察することができます。さらに、3次元の数値情報を持っているので、表面からの観察では得ることのできない表面積なども算出できます。
金属表面に特殊な処理を施して作成したマイクロスパイクは母相と特定の結晶学的方位関係を持って規則的に成長しています。個々のスパイクのアスペクト比や基材表層部との境界構造などは、表面からは観察できません。
図1に、FIB-SEMを用いて観察した、マイクロスパイクの3次元構造構築像を示します。図2には、図1に示した部分の断層画像を示します。このように、複雑に折り重なったマイクロスパイクの状態が明瞭に確認できます。
さらに、この画像から評価するとこのマイクロスパイクの表面積は、一般的なレーザ顕微鏡で測定した表面積に対して、3倍以上の表面積を持つことが確認できました。表面積以外にも、粒度分布やアスペクト比など、実測による内部構造の評価が可能です。
このように、FIB-SEMを用いると、表面からは分からない内部構造を有する各種複合材料の評価が可能になります。
京都大学 宮野公樹先生提供