2009年8月に、直前までIBM社の知財部長を勤めていたDavid Kappos氏が、米国特許庁長官に就任しました。IBM社は、15年以上連続して特許登録件数1位を誇る、米国特許庁にとって最大のユーザです。その知財部長を長官に迎えることは、さまざまな経歴の長官を迎えてきた米国特許庁にとっても異例です。
米国議会は、2005年から、米国独自の先発明主義から世界標準である先願主義への移行を含んだ特許法改正法案(表)を審議してきました。しかし、先願主義への移行については深刻な対立が無いものの、その他の項目について産業界の意見が統一できず、成立のめどが立っていません。具体的には、特許を競争力の源泉と考える製薬業界と、特許裁判の頻発が経営への障害になっていると考えるIT業界との間で、例えば、特許侵害に対する賠償額算出に制限を設けるか否かについての意見が対立しています。
IT業界の代表であるとともに、他業界からも高い信頼を受けていた新長官には、この対立を解消する役割が期待されています。
日本に比較して短いと言われていた米国の特許審査期間も、最近では、長期化傾向が続いています(図)。この対策のため、前任の長官は請求項数や分割出願件数の制限を提案し、出願人の反発を受けました。新長官は、これを撤回し、①最初の拒絶理由通知作成前の審査官面談の拡充、②特許審査ハイウエイ(他国での審査結果を利用して対応する米国出願を審査する)の対象の拡大、③価値を失った出願の取り下げによる別の出願の優先審査、④分割出願の一種であるRCEの取扱い変更による、審査官と合意済みの出願の優先処理、等の施策を発表しました。
当社では、このような新たな施策に柔軟に対応し、早期の米国特許取得をサポートします。