リチウムイオン二次電池の不具合 原因の一つとして、過充電により負 極部表面に析出した金属リチウムに よる電池内部の短絡が知られていま す。さらに、金属リチウムは非常に 反応性が高く、大気下で電池を解体 すると空気中の水分や酸素と反応し、 即座に変質してしまいます。そのた め、電池中のリチウムの挙動を把握 するには、不活性雰囲気下で試料を 扱うことが必須です。
このような元素の化学結合状態を 調べる手法として、X線光電子分光法 (XPS:X-ray Photoelectron Spectroscopy) は大変有力です。XPSでは、固体試料 の極表面(表面から5nm程度)に存在す る元素の結合エネルギーを測定し、化 学結合状態を決定します。当社では、 電池材料のXPS測定のため、不活性雰 囲気における試料の取り扱いを可能 としました。加えて、X線による試料 ダメージが小さく、化学結合状態を定 量的に、かつ深さ方向にも評価できる XPSは、電池材料の分析・評価に適し ています。
図に、長期間の使用に より膨張した携帯電話の 角型リチウムイオン二次 電池を不活性雰囲気下で 解体し、取り出した電池 負極部(炭素材)表面にお けるリチウムの化学結合 状態を解析した例を示し ます。リチウムピークを 化学結合状態別に分離す ることで、リチウム化合 物中に約20%の金属リチ ウムが存在することが分かりました。
当社では、XPSだけでなくSEM・
TEM・FIB等の各種分析装置において
も、不活性雰囲気下で取り扱う手法を
確立しており、リチウムイオン二次電
池の調査を行ないます。この他、金属
材料をはじめ、各種材料の表面改質層
や変色部の調査など、表面の詳細な化
学状態解析により、材料の研究・開発
や不具合調査をお手伝いいたします。
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| 図 電池負極材表面リチウムのXPS測定例 |