No.33「電池材料の化学分析技術(2)」

No.33
電池材料の化学分析技術(2) ~電池内部発生ガスのその場分析~

リチウムイオン二次電池内のガス発生現象

リチウムイオン二次電池は使用時の充放電の繰り返しにより劣化しますが、その際にガスが発生し膨れが起こることがあります。この現象は充放電反応に伴う電解液や電極自身の酸化・還元に起因しています。例えば、初期段階では電解液成分の電気化学反応によりSEI(Solid Electrolyte Interface)膜が形成されるとともにガスが発生します。

このような反応は充放電の繰り返しによる活物質の破壊やSEI膜の破壊・修復の過程でも起こります。従って、発生するガス成分の調査は電池反応機構解明のために重要な情報をもたらします。また多量のガス発生は破裂や発火を引き起こす可能性があり、安全性の観点からもその調査は極めて重要です。

その場ガス分析

図1 ガス採取用専用電池セル概念図
図1 ガス採取用専用電池セル概念図

"その場ガス分析"では、電極、セパレータ、電解液を装填可能な専用電池セルを用います(図1)。充放電によりセル内部で発生させたガスをトラップ管に吸着させた後、加熱脱着(Thermal Desorption)ガスクロマトグラフ質量分析(TD-GC-MS)により、発生ガスの定性/定量分析を行うものです。検出されたガス種については、ガスクロマトグラフ質量分析(GC-MS)あるいはガスクロマトグラフ(GC)によりppmオーダーの定量分析を行うことが可能です。なお、発生ガス種としてはH2、O2、CO、CO2等の他、CH4及びC2H6等の主に電解液分解に起因した成分が想定されます。

本法を用いれば、充放電のステップごとに発生するガスを採取/分析することによって充放電反応を追跡することができ、さらに意図的に過充電させて発生するガスを採取することも可能で、電池反応の機構解析やトラブル原因解明のために重要な情報を得ることができます。

今回、専用セルを活用した"その場ガス分析"を紹介しましたが、実使用時や長期サイクル試験により膨れた電池からのガス採取技術も確立しておりますので、ご活用下さい。

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