No.34「波動を応用した非破壊検査技術(2)」

No.34
波動を応用した非破壊検査技術(2) ~ドライ超音波カメラ~

はじめに

材料検査や医療などさまざまな分野で用いられている従来の一般的な超音波映像装置では、映像化対象物に接触媒質と称される液体を塗布したり、あるいは、映像化対象物を液体(水)に浸漬したりする必要がありました。しかしながら、液体塗布や液体への浸漬は映像化対象物を劣化させたり、材質を変化させたりするおそれがあるため、液体を介在させずに高感度・高分解能で超音波映像化を行いたいという強いニーズがありました。

ドライ超音波技術

図1 リチウムイオン二次電池正極材のrf-GDS分析例 (コバルト酸リチウム塗布/Al箔) 分析領域:4mmφ
図1 ドライ超音波装置の構成

このニーズに応える、ドライ超音波技術を開発しました。水を満たしたケースの底面に配した薄膜を真空吸引して映像化対象物に密着させ、薄膜を介して超音波を送受波するというものです(図1)。性能を左右するのは超音波を伝達しやすい薄膜の選定にあり、種々検討を進めた結果、高効率に超音波を伝達し、かつ薄膜の高耐久性(104回の真空吸引に耐える)を実現できるものを見出しました。適用可能な超音波周波数の上限は50MHzです。

ドライ超音波カメラ

カメラの構造は水を封入したケースに超音波フェイズドアレイ(PA)プローブと機械走査機構を配置したものであり、PAプローブによる超音波ビームのリニア電子走査とその直交方向への機械走査とを組み合わせることにより、物体内部の状態を高分解能でかつ高速に2次元画像化することができます(図1写真2)。
2次元の映像は2Hz程度の高い速度で更新され、内部の映像化が瞬時に行われますので、検査時間の短縮が可能になります。
図2は鋼板の深さ1mmの所に存在するφ2mmの欠陥を、周波数25MHzのPAプローブを取り付けたドライ超音波カメラで画像検出した例です(視野:25×25mm、視野サイズはPAプローブの仕様によります)。

図2 Rgemm-DDの性能
写真1 ドライ超音波カメラによる鋼板探傷例
図2 鋼板表層部の内部 画像化例
図2 鋼板表層部の内部画像化例

おわりに

開発した装置は水の浸透により状態変化が起こりやすいFRPやセラミックス、水による機能劣化、腐食、電食が懸念される電子部品や金属部品などの超音波映像化や、水や油をきらう環境下での超音波検査に威力を発揮します。

超音波プローブ2次元走査装置を用いて小型対象物内部を映像化する場合には、組み込み型ドライ超音波装置を利用することが可能です。対象物を薄膜と試料台の間に挟んで真空封入し、薄膜上部に設けた水槽内でプローブを走査させて撮影します。

ご要望に応じてご説明やデモンストレーションを実施します。お気軽にご相談ください。

(ドライ超音波の基礎技術は国立大学法人東北大学殿が開発した技術を用い、独立行政法人科学技術振興機構殿の助成金を得て、実用化を図りました。)

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JFEテクノリサーチ株式会社 営業本部

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