No.39「極微量分析技術(7)」 ~医療用器具・材料の溶出評価試験~

No.39
極微量分析技術(7) ~医療用器具・材料の溶出評価試験~
Dissolution Test of Medical Devices and Materials

はじめに

医療分野に使用される器具は、製品の安全性に関するさまざまな試験規格が設けられており、医療用器具として認可を受ける場合には、試験の結果だけではなく、詳細な試験条件を提示する必要があります。

今回は、医療用器具・材料を対象とする溶出試験について紹介します。

溶出試験の必要性

インプラントのように、長期間人体と接触させて使用する器具は、器具から溶出する微量金属元素が人体に悪影響を及ぼす可能性があるため、その溶出量を把握することは、製品の安全性を評価する上で極めて重要です。溶出試験は擬似体液を使って、実環境に即した条件下で実施する必要があり、生理食塩水、緩衝生理的塩類溶液(PBS(+), PBS(-)など)、細胞培養液、人工唾液などを溶媒として選択します。

溶出試験は試験条件が結果に与える影響が大きいため、JISやISOの試験規格により条件が細かく規定されています(表1にISO 10993-12での試験条件を示します)。当社では、お客様のご要望に合わせた条件で溶出試験を実施いたします。

表1 ISO 10993-12に規定されている溶出条件
厚み
mm
溶出液量
(表面積又は質量/液量)
± 10%
対象とする素材の形状例
<0.5 6 cm2/ml フィルム、シート、チューブ
0.5 ~ 1.0 3 cm2/ml チューブ、平板、小型成形品
>1.0 3 cm2/ml 大型成形品
>1.0 1.25 cm2/ml ゴム状の栓
不定形の固体デバイス 0.2 g/ml 粉体、ペレット、成形品
不定形の多孔性デバイス
(低密度材料)
0.1 g/ml
温度条件(以下のいずれかを基本とする)
 a) 37 ± 1℃ 72 ± 2h
 b) 50 ± 2℃ 72 ± 2h
 c) 70 ± 2℃ 24 ± 2h
 d) 121 ± 2℃ 1 ± 0.1h

Biological evaluation of medical devices
 - Part12: Sample preparation and reference materials.

溶出液中の金属元素の濃度測定

溶出液中の金属元素分析には、誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP-MS)などを使った高感度分析法を使用します。最初から定量分析を実施する場合に加えて、定性分析(通常67元素)によりどの元素がどの程度溶出するのかを把握した後、その結果をもとに定量分析を実施することも可能です。

まとめ

当社では、インプラントに限らず、ステントやワイヤーなど医療用器具を対象とした溶出試験も実施しておりますので、お気楽にご相談ください。

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