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No.18 金属顕微鏡による鋳鉄金属組織の観察

“KTEC News”は、旧・川鉄テクノリサーチ(株)が年4回発行していた小冊子です。バックナンバーとして掲載しておりますが、現在お取り扱いしていない製品・サービスの場合もございますので、ご了承ください。

鋳鉄製品は、3%程度の炭素および2%程度の珪素を含有する溶融状態の鉄を、砂などを用いて作られた鋳型中に流し込み、凝固させて製造されるもので、その技術は極めて歴史の古いものである。
鋳鉄製品は、圧延や鋳造などを行わず、わずかな切削加工のみで目的とする形状のものを作ることが可能である。鋳鉄は鋼に比べて融点が低く、溶解設備なども含めて小規模な設備を用いて簡単な製造工程で生産が可能であるために、現在でもエンジンケースなどの大型の部品をはじめ多くの種類の製品の素材として使用されている。

鋳鉄の組織には、溶鉄中に多量の炭素を含むために、写真に示すように片状あるいは球状の黒鉛が現れる。

左側の写真は最も一般的な鋳鉄であるねずみ鋳鉄の組織で、扁平な黒鉛相の断面である黒い筋状の組織とそれを取り囲む細かい層状のパーライト組織(薄いF3Cのセメンタイト層とフェライト層が交互に重なったもの)から構成されている。このねずみ鋳鉄は外力が作用した場合、偏平な黒鉛の縁の部分に応力が集中し、この部分から破壊が起こりやすく、強度が低いという弱点がある。

球状黒鉛鋳鉄は、この点を改良するために溶鉄中にMgなどの元素を添加して、凝固時に生成する黒鉛相の形を球形にしたもので、右側の写真のように、球状の黒鉛相の断面である円形の組織とその外周部のフェライト相、およびそれを取り囲むパーライト組織から構成されている。球状化により、じん性と延性が向上するため、クランクシャフトなどのかなりの強度を必要とする部品にも使用されている。

光学顕微鏡による金属組織の観察は、試験片の断面を研磨し、化学薬品によって結晶粒界をわずかに腐食させそれを拡大して金属の結晶組織を見るもので、極めて歴史の古い技法であるが、鋳造、塑性加工、熱処理など金属の素材としての履歴を知るためには最も有力な方法であり、現在でも広く行われている。

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