導電性プラスチック(SUSTEC)

Q-2:サステックとは

サステックとは、ステンレススチールを切削加工することにより製造される小さな繊維(ステンレスマイクロファイバー)を充填した導電性樹脂コンパウンドの商品名です。樹脂そのものは色々な物を用途によって選択できます。

サステックには、ステンレスマイクロファイバー(SMF)を6~8%充填した帯電防止/静電気散逸用途のSUSTEC/EDとSMFに導電助材を併用した電磁波シールド用のSUSTEC/EMIの2つの商品群があります。 市販されている金属長繊維充填樹脂は、金属長繊維マスターバッチと樹脂ペレットのドライブレンド品ですが、SUSTECはSMFと樹脂の混練済みペレットで販売しています。これは、ステンレス繊維の均一分散に大きく寄与していると思います。

電気抵抗は、炭素繊維の1/30~1/100と優れますが、銅、アルミの金属より遥かに大きいです。
従って、充填樹脂の導電性としては、炭素繊維樹脂より優れますが金属より劣ります。
しかし、一般に金属は酸化により導電性低下を起こしますがステンレスは表面に化学的に安定な不働態皮膜を形成し耐食性を持つので、導電性の経時変化は無く極めて安定です。

混入されるステンレスマイクロファイバー(SMF)は、平均径10μ、長さ300μで曲面構造をもっています。従来の金属フィラーは長さが長いので0.5体積%位の少量で導電性を示しますが、サステックは最低6~8体積%の充填が必要です。逆に、マイクロファイバーが表面に均一分散して非常に均一な表面抵抗が得られます。これがサステックの最大の特徴の一つです。従来の金属長繊維充填樹脂は成形品各部で大きな導電ムラが起きる事、表面に金属繊維が浮き出しやすい事、ホッパ内で偏析を起こし、成形品の品質が一定せずエッジ部リブ部に金属長繊維が充填されない場合がある等、多くの欠点を持っていました。

これに比較して、サステックの成形品はエッジ部薄肉部を含めて桁違いな均一抵抗を示し外観も優れています。これは、ステンレスマイクロファイバーが極めて微細な短繊維で曲線状を有している為に樹脂に充填後は均一な網目構造になり、成形品各部の均一抵抗に寄与していると推定されます。写真2-1.1のようなトレーでも、写真2-1.2のコンテナのような大型成形品でも各部での表面抵抗比率は1桁内に納まります。

搬送用トレー
写真2-1.1
サステックの成形品
写真2-1.2

サステックは、耐磨耗性に優れます。更に、ステンレスマイクロファイバーを充填してますがその脱離が非常に少ないです。ですからカーボンファイバーのケースと違って全く発塵の心配はありません

サステックは、他の長繊維充填樹脂製品と比較して全く異方性を示しません。従って成形品に反りが非常に少ないです。
これは、所謂アスペクト比(繊維長さ/太さ)が他の繊維に比較して極端に小さい為射出成形時点で繊維の方向が揃う事による流れ方向と直角方向の機械的性質の違いが発生しない為です。成形収縮率の流れ方向と直角方向の違いが出ないので反りがほとんど生じない事に繋がります。反りは、長繊維樹脂に比較してほとんど発生しないと言えます

サステックは射出成形時に金型の磨耗が心配されますが、樹脂と一緒に事前にコンパウンドにしたものをご提供しますので、樹脂に濡らされたステンレスファイバーは意外にも金型を磨耗させません。金型磨耗量はガラス繊維樹脂の1/5と極端に少ないです

サステックは、混入繊維が極端に短いので、混入によっても元の樹脂の各種の性質を変化させません。比重は大きくなりますが、強度、弾性率、引っ張り伸び率、成形収縮率、流動性は大きく変化しません。要するに伸び、柔軟性は失われず成形性、表面概観も滑らかさが保たれマトリックス樹脂の物性を大きく変える事無く導電性が得られるわけです

サステックは、EMI電磁シールド用に電子機器筐体等用の硬質グレードとガスケット等用に軟質グレードを備えていますが、金属アルミと遜色のない程度の非常に優れた電磁シールド特性を示します。表面抵抗の均一分布が大きく寄与していると思われます。