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No.36「微細構造を明らかにする物理解析(12)」

JFE-TEC News No.36号 微細構造を明らかにする物理解析(12) 他 記事一覧

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No.36(2013年07月)
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No.36 微細構造を明らかにする物理解析(12) 他

微細構造を明らかにする物理解析(12)~大気非暴露下におけるSTEM-EDS/EELS分析~
Microstructural Analysis by STEM-EDS/EELS without Exposing in Air

大気との反応性が高い物質を変質させることなく観察・分析したいというニーズが高まっています。たとえば、Li化合物は酸素や水分と反応してしまうため、サンプルの開封から分析までの一連の処理をすべて大気非暴露環境下で行う必要があります。

当社では、前記の様なご要望にお応えする微細構造解析を可能にするために、集束イオンビーム加工観察装置(FIB-SEM)収差補正走査・透過型電子顕微鏡(Cs補正STEM)にそれぞれトランスファーベッセルを組み込み、高純度Ar循環型グローブボックスを介した大気雰囲気遮断システムを構築いたしました。イオンや熱ダメージを受けやすい材料の場合、非暴露搬送と合わせて、試料ステージを-140℃まで冷却しながらFIB加工することが可能です。

【大気非暴露分析例】 リチウムイオン二次電池劣化品から 取り出した負極のSTEM-元素マッピング

当社で試作したリチウムイオン二次電池の劣化品から大気非暴露下で天然黒鉛負極を取り出し、FIB加工後、TEM観察しました。図1はTEM像です。左の写真の中で□でかこんだ部分を拡大した右の写真では、黒鉛の周囲にグレーコントラストの表面被膜が確認できます。

図1 黒鉛負極のTEM像(右図は左図中の緑枠領域の拡大)
図1 黒鉛負極のTEM像(右図は左図中の緑枠領域の拡大)

図2は、STEMモードで元素マッピングを行った結果です。電子エネルギー損失分光法(EELS)では、被膜中に存在するLiが捉えられました。これは、充放電中に活物質内へ挿入・脱離することができなくなった不可逆分のLiだと考えられます。また、エネルギー分散型X線分光法(EDS)では、電解液からの反応生成物と考えられるO、F、Pが検出され、矢印で示した線状の部分ではLi、O、F、Pが共存していることがわかりました。Cs補正STEMには高感度EDS検出器を搭載しているため、被膜中のこれらの元素分布を約10分間(従来の4分の1の時間)で明瞭に把握することができます。

当社ではFIB-STEM以外にも、様々な大気非暴露分析を承っております。是非お気軽にご相談ください。

図2 黒鉛負極のSTEM-元素マッピング(倍率:1,000,000倍)
図2 黒鉛負極のSTEM-元素マッピング(倍率:1,000,000倍)

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