負極の解析

非暴露での冷却イオンミリング(cryo-CP)等の低ダメージの断面作成技術と、収差補正透過型走査電子顕微鏡(Cs-STEM)の電子エネルギー損失スペクトル(EELS)ナノ領域マッピング技術で炭素やシリコン(Si)といった負極表面の皮膜(SEI)を分析できます。

分析手法の一覧

分析手法 非暴露 オプション
加工手法 イオンミリング法 冷却
フォーカスドイオンビーム(FIB)法   冷却
表面(断面)分析 SEM エネルギー分散型X線分析(EDX)
二次電子・反射電子像
電子線後方散乱回折法(EBSD)
In-situ(全固体電池)
TEM 球面収差(Cs)補正、
走査透過電子顕微鏡STEM
エネルギー分散型X線分析(EDX)
電子エネルギー損失スペクトル(EELS)
制限視野回折
超低加速電圧
エネルギー分散型X線分析(EDX)    
光電子分光(XPS)法    
オージェ電子分光(AES)法  
グロー放電発光分析法 GD-OES  
組成分析 高周波誘導結合プラズマ(ICP)   ICP-発光分光法(AES)
ICP-質量分析法(MS)
固体NMR 7Li、13C
構造解析 X線回折(XRD) In-situ分析
水分分析 カール・フィッシャー法  
分析手法 適用
バインダー分析 熱重量分析(TGA) PVDF
ガスクロマトグラフ質量分析(GC-MS)  
ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)  

炭素系負極の構造解析

リチウム(Li)イオン電池に多く使用されている炭素系活物質は、天然黒鉛や人造黒鉛、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、難黒鉛化炭素などさまざまな種類があります。

大気非暴露による断面FE-SEM観察例(電池用負極材)

大気非暴露による断面イオンミリング加工後のFE-SEM像 写真1 大気非暴露による断面イオンミリング加工後のFE-SEM像
従来法による加工観察結果・大気と反応し、副生成物が析出する 写真2 従来法による加工観察結果・大気と反応し、副生成物が析出する
  • 観察試料:充電状態(SOC 100%)の天然黒鉛(粒径約 25μm)
新品 劣化品
新品 劣化品
図3 劣化電池の炭素負極表面のLi状態分析事例(XPS) 新品→ Li+イオンを黒鉛の層間に収蔵
劣化品→ 金属Liとして電極表面に析出

電池材料用機能性カーボンの表面官能基分析の総合評価が可能です。

機能性カーボンの特性

多様な構造を有するカーボン材料は、リチウムイオン二次電池の負極、燃料電池の電極やセパレーター、キャパシター用電極など幅広い用途に使用されています。

カーボンの特性は様々な角度から分析評価されますが、ここでは、電気特性(電気容量、電気抵抗)を左右し、電池の寿命にも影響すると考えられる表面官能基分析についてご紹介致します。

分析手法

化学分析、物理構造解析、有機構造解析などの多面的な測定と解析を行い、表面官能基量の違いによるカーボンの特性を総合的に評価します。

■酸塩基適定法:Boehm法

■XPSによる半定量法

■FT-IRによる半定量法

その他、電気容量や応答性に寄与するといわれる、カーボン材料の細孔構造の評価として、よう素、メチレンブルー吸着性能評価なども併せて弊社の分析をご活用下さい。

分析事例(酸塩基滴定法:Boehm法によるカーボン表面官能基の分析)

サンプルに水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウムを個々に加え、
「電位差自動滴定装置」により、塩酸溶液を用いた逆滴定を行う(不活性雰囲気下)。

  1. 全酸性官能基量(全酸量):水酸化ナトリウム添加した条件下での塩酸溶液消費量
  2. 強酸性官能基量(カルボキシル基量):炭酸水素ナトリウム添加条件下での塩酸溶液消費量
  3. 弱酸性官能基量(フェノール系水酸基量):全酸量-カルボキシル基量

⇒カーボン材料の表面官能基量測定は、機能性材料としての特徴が捉えられるだけでなく、製造工程における製品管理にも有効です。

測定の一例(表1
改良品カーボンB, Cは従来品Aに比べて、全酸量が多く、電気的反応性が高いとみられま す。

カーボンの代表的な表面官能基 カーボンの代表的な表面官能基
表1 Boehm法によるカーボン表面官能基の分析
サンプル 全酸量
〔mmol/g〕
フェノール系水酸基
〔mmol/g〕
カルボキシル基
〔mmol/g〕
A:従来品 0.18 0.17 0.01
B:改良品 0.44 0.34 0.10
C:改良品 0.52 0.40 0.12

シリコン(Si)負極の構造解析

様々な分析手法を組み合わせることで、充放電過程で負極材がどのように変化するかを追跡することが可能です。

単結晶Siを活物質とした負極の例をご紹介します。

充放電時のその場結晶構造解析

Li対極のハーフセル構造で充電しながら、繰り返しXRD測定することで、 Liが収蔵していく結晶状態の変化を捉えることが可能です。

充電が進むにつれ、結晶性Siの(111)ピークが小さくなっていくことから、充電に伴う結晶性の低下を確認できました。

XRD分析結果

充電状態Si負極中のLiの挙動

充電40%のSi負極を大気非暴露のままSEM観察・TEM観察することで、活物質内部に網目状の変質部(非晶質)が確認できました。

EELS分析を実施することで、変質部がLi-Si反応層であることが判明しました。

この他にもEBSDを用いてLiの進入方向とSiの結晶方位との関係を調べたり、STEM-EELS法にてSEIの組成を分析したりすることも可能です。

充電状態Si負極中のLiの挙動

電子線後方散乱回折法によるSi負極でのLi挿入方向の分析

Si負極はLiがSi中の挿入されることで、Liを収蔵する負極材料です。

下記のSEM像は、Si単結晶を負極として用い、充電状態40%間で充電することで、Liが挿入された様子を観察した結果です。

活物質内部に現れた網目状組織は、Liが挿入されて非晶質化した部位です。

EBSD測定結果を解析すると、測定面は(001)面であり、Li挿入経路がSiの(101)年と一致していることがわかりました。

この結果は、充電時にLiがSiの(101)面に沿って選択的に挿入していることを示唆しています。

Si活物質(充電状態40%)のSEM像とEBSD測定結果 図1 Si活物質(充電状態40%)のSEM像とEBSD測定結果

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JFEテクノリサーチ株式会社 営業本部