赤外線カメラソリューション

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サーモグラフィ(赤外線カメラ)による
計測技術「解説」(1)

赤外線カメラによる計測技術

赤外線カメラのハード、ソフトは近年飛躍的に進歩して図1に示す様に応用範囲も拡大しており、その計測手法は、原子力施設の保全技術指針(JEAG4223-2008)や建築基準法第12条「定期報告制度」において適用されてきています。また日本非破壊検査協会では、この分野の啓蒙と規格化及び測定者の資格認定制度(JIS Z 2305 赤外線サーモグラフィ試験)も行われてきています。最近の赤外線カメラによる温度計測および応力計測についての応用事例をご紹介します。

高性能温度測定

  • 最近の赤外線カメラの応用の飛躍的な進歩は感度・撮影速度の向上による部分が大きくあります。汎用赤外線カメラの上位機種の温度分解能(NETD)は5/100℃程度ですが、高性能赤外線カメラは2/100℃程度と2.5倍程度の温度分解能差です。一方、撮影速度では汎用タイプの60コマ/sに対して、355コマ/sと5倍以上です。さらに撮影画素数を少なくすれば最大20,000コマ/s以上となり、高速度カメラ並みの撮影が可能です。

    自動車用鋼板の衝突吸収エネルギーの向上は安全と軽量化に貢献していますが、その評価は高速変形時の発熱量からできます。図2は高性能赤外線カメラによる高速引張試験の測定結果です。発熱のピーク温度は1ms間に発生し, 試験片の温度分布も均一ではないことが温度分布画像から分かります。8ms/コマの汎用カメラではこの現象を捉えることが出来ません。

    パワーデバイスは微細な構造をもち、急激に温度上昇することがあります。図3のように顕微鏡レンズを用いることで、パワーデバイスなどの微細な半導体製品の高速温度測定も可能です。製品の不良解析などにご活用いただいています。

応力測定

  • 赤外線カメラによる応力測定の原理は、100年以上前にケルビン卿(1824~1907)が熱弾性効果として論文発表しています。エアコンはご存知の様に、気体を圧縮して発熱させて室外に熱を放出し、その後、膨張させて冷熱を室内に取込んでいます。これに比べて金属、セラミックス、プラスチックなどの固体では体積変化に対する温度変化は非常に小さいです。例えば1MPaの応力を鋼片に加えて圧縮した場合の温度変化は、僅か1mKの温度上昇です(図4)。逆に1MPaの引張応力を加えた場合は、1mKの温度降下です。この熱弾性効果は(1)式に示す一次式で示されます。

(1)式より、温度変化を正確に測定できれば応力も精度良く測定できます。しかし精度良く温度測定をするためには高性能赤外線カメラだけでなく、いくつかのテクニックが必要となります。①荷重条件:温度変化が小さいため、熱拡散の影響を小さくするために比較的早い繰返し荷重か高速荷重が必要です。可能ならば疲労試験機等を用いる方が精度良い結果を得られます。温度変化の発生しない一定荷重や残留応力などは原理的に測定できません。②ロックイン方式:誤差の原因となるノイズを減少させるため温度変化のデータをロックイン方式により解析します。

これによりS/Nが大幅に改善されます。疲労試験機等を使用して繰り返し負荷を与える場合、参照信号(荷重もしくは変位の同期信号)を取り込んで処理します(図5)。 ③反射率(放射率)補正:測定対象の周りは全て熱外乱で、僅かな温度変化にとっては影響が大きいです。電気機器、油圧機器、照明などの比較的大きな熱源だけでなく、人や壁も全て温度外乱となります。表面が綺麗に加工された測定体は、周りの温度を表面反射して赤外線カメラに間違った情報を伝えてしまいます。これを防ぐ為に、出来るだけ黒体化塗装を行って反射率をゼロに近づけ、放射率を1に近付けます(反射率=1-放射率)。

ヘルツの接触応力測定

円柱と平面の接触応力を測定した結果を図6に示します。接触による応力分布の詳細が測定できます。

赤外線カメラの仕様例

温度分解能: 0.02℃
測定温度域: -20℃~+3000℃
測定画素数: 640ⅹ512画素
フレームレート: 353コマ/s@フルフレーム(640×512画素)

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