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No.02「最近の係争事例から(1)」

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最近の係争事例から(1)~裁判所のルール~

知的財産に関する係争事例を何回かにわたって紹介します。今回は初回なので、裁判所と特許庁ではその判断ルールが異なることについてお話しします。

発明が実施技術と同一か否かについては、権利者と実施者との間で争い(特許係争)がよく生じます。特許の対象は、技術的な思想である発明であり、権利者はこれを広く解釈し、実施者は狭く解釈する傾向があることは心情的に理解できます。またこれは判例が示すところでもあります。

このような係争事件の解決は、裁判手続き以外の場合、当事者間で黒白がきちんと整理されていないことが多く、仮に解決しても、争いの内容は和解契約等で秘密にされる場合がほとんどで、文書等で公表されることはまずありません。一方、裁判で解決を図る場合には、原則として判決書が公開されます。また、この時に「裁判所によって、特許侵害が証明された」等の新聞、雑誌報道が時々あるためか、世間には、裁判所が特許侵害の事実を証明してくれるのだと思っている人を見受けることがあります。

裁判所では、判決の基礎をなす事実の確定に必要である資料の収集に関しては、当事者の権能と責任とする建前を採用しています(弁論主義)。この点、特許庁の審判手続きに見られるように証拠資料を審判官が探し出すことを積極的に認める建前(職権探知主義)とは対立しています。特許庁との手続きを長年行っていると、裁判所の係争事件ではやや戸惑うことがあります。

すなわち、裁判所は、①当事者の主張しない事実を判決の基礎とすることはできませんし、②当事者が争わない事実は、それが間違っていても判決の前提としなければなりません。更に、③裁判所が争いのある事実を認定する場合には、当事者が提出した証拠によってしなければならず、裁判所が証拠を探し出すことはありませんし、むしろ禁止されています。これが弁論主義の三大ルールといわれています。知的財産権の侵害事件でも民事訴訟である限り、この原則が適用されます。このため、主要な事実の主張、立証は自ら行わなければ自己に有利な結論は望めません。主張しなくてもこの程度の事実は裁判所であれば、理解してくれるだろう的な対応は判決時に泣きを見ることになります。裁判所は、特許侵害の事実を証明してはくれません。当事者が主張しない事実は、裁判所の弁論主義のルール①により判決の基礎とできないのです。立証しても主張しなければ同様な不利益が生ずることも忘れてはいけません。例えば、被告の製造装置の図面を見れば特許の図面と同じであることが明らかであっても、「同一である」旨を主張しなければ、裁判の基礎とできないのです。これも特許庁の手続きとは異なります。裁判所の判断(判決)は当事者のみ拘束し、特許庁のそれは広く第三者にも影響を及ぼすからです。

プロパテント時代といわれて久しいですが、最近の統計データでも特許権者側の勝訴が少ない理由の一つはこのような事ではないかと思っています。

以上、裁判所における特許係争の判断はどのようなルールが支配しているか、特許庁のルールとの比較でその一端を紹介しました。

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