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No.76「触媒分野におけるSTEM高度利用」

No.76 物理解析の最前線特集号

触媒分野におけるSTEM高度利用〜触媒活性を左右するPEFC触媒の無染色3次元微細構造解析〜
Advanced STEM Application for PEFC Catalyst

なぜいまこれが?

カーボンニュートラル時代におけるモビリティのエネルギー源として、水素と空気中の酸素で発電を行う、固体高分子型燃料電池(PEFC)が注目されています。これらのコアテクノロジーは数nmまでに微細化された触媒により支えられています。この触媒の微細構造を観察するだけでなく、定量評価し、材料開発にフィードバックするために、透過走査電子顕微鏡(STEM)による3次元(3D)構造解析技術をブラッシュアップしました。

これがポイント!

PEFC・水電解触媒の構成材料であるアイオノマーとカーボン担体はともにSTEMによる識別が難しい軽元素で構成されており、特に電子線に弱いアイオノマーを無染色で壊さずに識別することは困難でした。当社では電子線照射量を抑えたSTEMを用いて、カーボン担体とアイオノマーを、散乱電子の強度差により識別する技術でnmスケールの構造を壊さずに3D構造を可視化する技術を開発しています(図1)。

現在では、試料ステージの精度、3D再構築計算時の画像位置精度、識別アルゴリズムの最適化の改良を行い、空間分解能と、物質の識別精度が向上し、3D構造を"観る"だけでなく、画像解析により"測る"ことができるようになりました。解析では既往の体積・表面積に由来した数値データだけでなく、カーボン担体の表面に対するPtの担持位置の評価や、アイオノマーのカーボン担体が有する細孔への含侵状態、Pt触媒との位置関係等、触媒性能に関連したナノ構造パラメータの抽出が可能です。今後もSTEMにより抽出したnmスケールの構造パラメータと物性との整合性・定量精度の調査や、様々な材料における実証結果を学会1)などの場で研究者の方々と議論しながら技術開発を進めてまいります。上記PEFC触媒に限らずnmスケールの3D構造に関するお困りごと等がございましたらお気軽にお問い合わせください。

1)宇部卓司 第128回触媒討論会、"透過走査電子顕微鏡を用いたPEFC触媒の先端評価解析"、2021年9月15日(招待講演)

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