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No.34 窒化チタン膜と珪素鋼単結晶界面の透過電子顕微鏡像

"KTEC News"は、旧・川鉄テクノリサーチ(株)が年4回発行していた小冊子です。バックナンバーとして掲載しておりますが、現在お取り扱いしていない製品・サービスの場合もございますので、ご了承ください。

変圧器等の鉄芯に使用される一方向性珪素鋼板は、表面の研磨加工とTiNコーティングを組み合わせて鉄損を顕著に低減できることが見出され、それによる磁区細分化の様子は表面から数ミクロンの深さの磁区の電子顕微鏡によって、本誌No.30で紹介した。

今回の写真は、同じ試料の断面の透過電子顕微鏡像である。TiN被覆した珪素鋼単結晶板を用いて磁区細分化を確認した後、特定した位置の[011]方向に機械加工により試片を採取し、その後FIB(Focused Ion Beam)加工を施して薄膜として、TiN膜と珪素鋼単結晶の界面の透過電子顕微鏡観察を行い、超低鉄損機構の解明を試みたものである。

この電顕写真と電子回析結果から、次の3点が示される。

1)TiN膜と珪素鋼単結晶粒との界面に約10nm幅の横縞を有する混合層が観察される。

2)TiN膜の結晶面は(110)、方向は[111]であり、珪素鋼単結晶粒の結晶面は(100)、方向は[011]である。

3)TiN膜と珪素鋼単結晶粒との整合関係は、(111)TiN//(001)Sisteel,[110]TiN//[100]Si-steelを満足すると考えられる。
この場合、TiN膜の[110]と珪素鋼単結晶粒の[100]との整合からのずれの程度は、約4.5%で良好である。

●このようにTiN被覆した一方向性珪素鋼板は珪素鋼単結晶との密着性を確保した上で珪素鋼板の[100]軸方向の一方向に強力な弾性張力を付加することが可能であるために、磁区の細分化が可能となり、超低鉄損が達成されると考えられる。

※井口征夫:まてりあ、35(1996), No.5, P469(日本金属学会)

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