極低加速電圧SEM(ULV-SEM:Ultra Low accelerating Voltage SEM)は、プローブ電子のエネルギーを100Vまで低くすることで、ナノメータレベルの極表面の高分解能観察が可能です。また、従来から行われている表面形状観察だけでなく、物質の違いに起因するコントラスト(化学状態強調SEM像)が得られることも、極低加速電圧SEMの特徴です。
従来のEDX(エネルギー分散型X線分光法:Energy Dispersive X-ray Spectrometry)マッピングでは、元素ごとの分布しか得られませんでした。最新のものでは、マッピングした全点のEDXスペクトルを多変量解析することで、異なる元素からなる化合物相の分布が得られます。この手法により、化合物の分布を解析できるようになりました。
図は、室内に2ヶ月間放置した純鉄に生じた鉄さびの分析結果です。加速電圧500Vで観察した化学状態強調SEM像とEDX相解析結果(上中:鉄相、上右:鉄さび相)とを示します。下段のEDXスペクトルから、鉄相にはFeだけが存在し、鉄さび相にはFeとOとが存在することが確認できます。このSEM像とEDX相解析結果を比べると、化学状態強調SEM像の明るい部分が基材の鉄相で、暗い部分が鉄さび相であることが明らかです。極低加速電圧SEMと低加速EDXの組み合わせにより、従来のSEMを超え、表面分析装置(AES、XPS、SIMS)より手軽にナノメータレベルの表面の形態・元素分布・化合物分布の解析が可能となりました。
当社では、極低加速電圧SEMをはじめとした解析技術により、さまざまなナノ材料の研究開発のお手伝いをいたします。