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No.21「知的財産に関する最近のトピックス(3)」

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No.21(2009年10月)
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No.21 ナノ材料の解析・評価の新展開 他

知的財産に関する最近のトピックス(3)~進歩性の判断基準~

進歩性について

特許法では、29条に特許の要件が規定されており、第1項が"新規性"、第2項がいわゆる"進歩性"に関するものです。
特許権は、高度な技術的思想の創作たる発明を新たに公開する代償として与えられます。したがって、公知となっていた発明(新規性のない発明)はもとより、いわゆる当業者が出願時の技術水準から容易に発明することができた発明(進歩性のない発明)には、特許権は与えられません。

進歩性判断基準に関する動き

(1)特許・実用新案審査基準について

特許庁審査官が進歩性を判断する基準としては、特許・実用新案審査基準(第Ⅱ部第2章)があります。
最近、審査基準に対し、技術、産業、社会の動向への適切な対応、国際調和等のため定期的な点検を行うべく、産業構造審議会知的財産政策部会特許制度小委員会の下に審査基準専門委員会が設置されました。審査基準専門委員会は、2008年11月から2009年6月末の時点で計3回開催されており、その議論は特許庁ホームページ 1)で公開されています。
審査基準専門委員会では、テーマの一つとして進歩性が取り上げられ、進歩性のレベルや進歩性の判断における具体的な論点などが検討されています。例えば第3回委員会の議事要旨を参照すると、「進歩性のレベルが安定している現在、審査基準の改訂によって進歩性のレベルを変更すべきではない」こと、「関連資料において裁判例を示すことで、審査基準の具体的な適用における明確化を図ること」などが結論付けられています。

(2)審判部における判断基準について

審査官による拒絶査定の妥当性や権利の有効性などを判断するため審判制度が設けられています。
特許庁審判部では、審判官のほか、産業界、弁護士・弁理士等の立場の異なる特許実務担当者が加わり、2006年度から進歩性検討会が設けられています(2008年度からは特許性検討会に名称変更)。
この検討会では、判決の事例研究を通して審判部での判断基準の問題点の有無などが検討されています。その結果は、今後の審理に生かされ、また、進歩性などの判断基準を明確化すべく広く公表 2)されています。
出願人にとって、特許庁における進歩性の判断基準は、審査の予見性等の観点から重要であり、ひいては権利安定性にも影響するため、その動向に注目する必要があります。

1) https://www.jpo.go.jp/resources/shingikai/sangyo-kouzou/shousai/kijun_wg/

2) http://www.jpo.go.jp/cgi/link.cgi?url=/shiryou/toushin/kenkyukai/sinposei_kentoukai.htm
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