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No.21「定量の極限を目指す化学分析(4)」

No.21 ナノ材料の解析・評価の新展開 他

定量の極限を目指す化学分析(4)~溶液中のイオン分析のためのクロマトグラフ法~

水溶液試料中に含まれるイオン成分を分離定量する手法としては、高速液体クロマトグラフ法が広く用いられます。なかでも、無機陰イオン、アルカリ金属イオン、有機酸、アミン類の測定には、目的成分の分離手段としてイオン交換体を用いる、イオンクロマトグラフ法(Ion Chromatography、以下ICと略)が適しています。

原理と特徴

ICは、イオン交換体に対する測定イオンの親和力の差により試料溶液中の複数イオンを分離したのち、それぞれのイオンの量を検出器(通常は電気伝導度検出器)で順次測定し、定性・定量する手法です。数mLの試料で、数分から数十分の間に測定が完了することから、環境分析をはじめとして多くの公定法に採用されています。適用濃度は通常0.1 ~ 10ppm程度、濃縮機能を付加すれば、0.1ppbレベルの微量分析も可能となります。

分析例

試料が気体や固体であっても、分析目的成分を分離回収し水溶液とすることで、ICを適用可能な場合があります(表参照)。
例えば燃焼分解―溶液吸収法は、各種材料、廃棄物固形化燃料の硫黄やハロゲン分析などに用いられています。固体試料を酸素雰囲気で燃焼分解、気化したハロゲンや硫黄酸化物を吸収液に回収し、溶液試料とします。ICと一体化された全自動燃焼分解装置により、分析操作時間の短縮を図ることができ、品質管理を目的とした分析にも適しています。
当社では、プラスチック試料中の臭素系難燃剤簡易分析、各種油試料中の不純物分析、石炭中の塩素やふっ素分析などに活用しています。また、腐食した材料の表面を適切な溶媒を用いて処理し、抽出された成分を分析することで、腐食環境の評価を可能にしています。このように、当社では、適切な前処理方法を開発しながらICの適用範囲を拡大しています。

表 試料形態別による前処理方法と適用例
試料の形態 前処理方法 適用例 公定法例
気体 溶液吸収 排ガス,室内雰囲気 JISK0099, K0103, K0104
捕集-抽出 大気環境
汚染大気,粉塵
JISZ2382, Z3952
衛生試験法・注解
液体 ろ過,希釈 工業用水,工場排水 JISK0101, K0102
濃縮 超純水 JISK0553, K0556
ガス追出_溶液吸収 硫酸 JISK1321
燃焼分解_溶液吸収
固体 全体
(含有)
燃焼分解_溶液吸収 燃料,プラスチック類 JISZ7302-6
加熱分解_溶液吸収 セラミックス類 JISR9301-3, R1603, R1616
粉砕_水抽出 試薬 JISK1402, K1403
食品,肥料 食品分析法,肥料分析法
表面
(付着)
水抽出 電子材料 JISC0950
腐食要因調査

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