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No.28 FIB装置を用いて加工したロール表層部の断面透過電子顕微鏡像

“KTEC News”は、旧・川鉄テクノリサーチ(株)が年4回発行していた小冊子です。バックナンバーとして掲載しておりますが、現在お取り扱いしていない製品・サービスの場合もございますので、ご了承ください。

集束イオンビーム加工装置(FIB:Focused Ion Beam)は、試料の走査イオン像(SIM:Scanning Ion Microscopy)を観察しながら、試料の任意の位置での微細加工が可能である。最近、FIB装置は、半導体、セラミックスに加えて金属の断面透過電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscpe)用試料作成装置として利用されている。

上の写真は、軸受鋼を直径200mmの圧延ロールとして使用した後、ロール表面付近のTEM試料を、FIB装置を用いて作成した場合の断面TEM像を示す。FIB加工に際しては、TEM観察上、試料の一番興味のある最表層を保護するため。あらかじめタングステン等の重金属をコーティングすることによってイオンビームダメージを軽減する対策を講じている。

写真の例では、ロールの幅方向の断面を観察していることになるが、ロールの最表面には平均厚さ100nm(=0.1μm)の酸化膜(明るい線状部分)が存在することがわかる。ロールの表面が比較的平坦であるのに対して、酸化膜の厚さは場所により2倍程度変化していることが明瞭に観察される。

一方、ロールの組織は全般的にマルテンサイト的な組織を示している。注目すべきは、表面から300nmを境にして結晶粒径に大きな差があり、内部は一般鋼材中でもよく見られるマルテンサイト組織であるのに対して、表層部の結晶粒径は高倍率の観測では10nm程度に微細化していることで、鉄の結晶粒微細化の限界に近いものと思われる。

このように、FIB加工後の断面TEM像を観察することにより、酸化膜の厚さの実測、酸化膜の表面の凹凸の観察、金属と酸化膜の界面構造の回析、さらに表層部から10μm以内の金属表層部の深さ方向の組織および組成の変化などを詳細に調べることができる。

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