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No.29 三次元走査型電子顕微鏡を用いたステンレス鋼鈑表面の斜め鳥瞰図

“KTEC News”は、旧・川鉄テクノリサーチ(株)が年4回発行していた小冊子です。バックナンバーとして掲載しておりますが、現在お取り扱いしていない製品・サービスの場合もございますので、ご了承ください。

三次元走査型電子顕微鏡(SEM)では、試料表面に電子線を入射して放出される反射電子の強度を分割された半導体検出器で検出し、表面傾斜角を算出することで表面形状を計測できる。

上の写真は、鏡面光沢を持つ装飾用パネル等に使われる光輝焼鈍仕上げのステンレス鋼鈑の表面を三次元SEMで観察し、この計測データをもとに作成した鳥瞰図である。左下のx、y、zの三方向についての長さの単位を右下に示した。表面の凹凸を縦軸に大きく拡大して、ちょうど山の上から麓の様子をうかがうような感覚で表面の起伏状態を表示している。

図ではy方向がステンレス鋼の圧延方向に対応しており、その方向に沿って畠の畝のようなうねりがおおよそ1μm間隔で見られる。通常のSEM像ではこのうねりは像のコントラストとして表れるのみで凹凸としては見えないが、本装置では谷の深さ、山の高さを色の濃さで表示できるため、凹凸が明瞭に区別できる。

また、右上に直径10μm程度の三つの結晶粒の粒界が合わさる三十点近傍の様子が見える。右側の二つの結晶粒は比較的平坦であるのに対して、左側の粒では前述のうねりに加え、45度方向に0.3μm程度の小さいピッチでしわのように規則正しい模様が生じている。金属光沢が美しいステンレス鋼の表面にもかなりの割合でこのようなしわが存在している。二次イオン質量分析装置(SIMS)による表面の深さ方向分析によれば、このステンレス鈑上には数nm(1nm=1/1000μm)の厚さの酸化被膜が特定の結晶方位の粒表面で優先成長した結果といわれている。

この画像は計算機内に記憶されており、本図のような鳥瞰図のほか任意の位置における粗度曲線、等高表示など各種の表示が可能である。高低差の検出限界は小さく、2nm程度にも達するので今後表面の観察に広範な利用が期待される。

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