事例集
排ガス等による硫酸露点腐食-硫酸浸漬試験
ボイラー・燃焼系設備の硫酸露点腐食を模擬し、硫酸水溶液への浸漬試験で材料の耐食性を評価します。
ボイラー、熱交換器、燃焼系、排気系の硫酸露点腐食
石炭、重油、ごみ焼却設備における硫酸露点腐食
石炭、重油、ごみ焼却など排ガス中にSOx(SO3)が含まれる燃焼系設備においては、排ガスなどが通過する経路において、SO3濃度や水蒸気濃度等によって決まる硫酸露点に対して、設備壁面などが露点を下回る場合には結露した硫酸を含む溶液により激しい腐食(炭素鋼:0.3mm/y以上)が発生する場合があります。
硫酸露点腐食模擬試験
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硫酸露点温度の推定値
排ガス中のSO3濃度、水蒸気濃度から推定される硫酸露点の推定値を図に示します。硫酸露点は、 SO3濃度の増加および水蒸気濃度の増加に伴い上昇します。排ガスが通過する設備において、排ガスにさらされる壁面温度がこれら硫酸露点の推定値を下回ると結露した硫酸水溶液による腐食が激しくなることが予想されます。(硫酸露点温度は、推定値であり、実際にはこの温度周辺でも激しい腐食が発生する場合があります。)
硫酸露点環境における模擬腐食試験
設備壁面の温度が露点を下回ると硫酸を含む水溶液が結露しますが、その濃度はSO3濃度への依存性は小さく、壁面温度と水蒸気濃度に依存します。水蒸気濃度が10vol%のときの壁面温度と結露硫酸濃度の概算値を基に浸漬試験を設定し、浸漬前後の重量減少から腐食減量を算出して相対評価します。
腐食速度が大きいため浸漬時間は6時間程度が選択されます。
(ただし材料や試験材の形状・サイズによっては、全試験材が溶解する場合もございます。)
※硫酸濃度,試験温度、試験時間は、表の例に限りませんので、ご指定の条件ある場合には事前にご相談下さい。
※試験後の形状・表面解析が可能です。また実機材などを御支給頂ければ、表面解析、材料自身の電気化学特性調査、腐食調査も可能です。
硫酸水溶液中の浸漬試験における注意点
実際の燃焼系設備では温度・SO3濃度・水蒸気濃度が変動し、運転と休止を繰り返すため、浸漬試験の結果が必ずしも実機腐食速度とは一致しません。相対的な材料間の差としてご評価ください。
大気中の腐食と異なり、ステンレス鋼などは炭素鋼と腐食速度が変わらない場合があり、耐酸元素を含む低合金鋼(耐硫酸露点腐食鋼)などの方が腐食速度を抑制できる場合があります。試験条件(硫酸濃度・試験温度・試験時間)の指定がある場合は事前にご相談ください。試験後の形状・表面解析や実機材の表面解析・電気化学特性調査・腐食調査も可能です。
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排ガス中のSO3濃度、水蒸気濃度と硫酸露点推定値の関係 硫酸露点の気液平衡時1)の表面温度と硫酸濃度, 炭素鋼の腐食速度例
温度(℃) 硫酸濃度(wt%) 炭素鋼腐食速度※ (mm/h) 20 10 <0.02 40 20 0.01~0.05 60 40 >0.05 70 50 >0.05 80 60 <0.01 90 65 <0.01 ※6時間浸漬後の重量減少量から算出
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