事例集
オーステナイト系ステンレス鋼中微量水素の物性影響評価に向けた高温陰極水素チャージ技術(Newly-developed electrochemical technique of charging hydrogen in stainless steels )
高温高圧水素暴露に代わる簡易な電気化学的水素チャージ方法を提案いたします。
オーステナイト系ステンレス鋼中水素による材料特性への影響(水素脆化)
オーステナイト系ステンレス(SUS)鋼は液体水素タンク用や水素ステーション用の鋼材として採用されています。低温水素環境下ではオーステナイト系SUS鋼への水素侵入は少ないが、製造・点検時など常温環境下において水素が侵入し、その結果、長期低温環境下の使用で鋼材の特性劣化(水素脆化)が懸念されています。
電気化化学的手法による新規水素チャージ技術:高温陰極チャージ法
オーステナイト系SUS鋼の水素脆化評価には試料内部に水素を侵入拡散させて水素濃度を上げる必要があります。しかし、オーステナイト系SUS鋼の水素拡散係数は非常に小さく、常温では試料表面付近に水素が留まる程度で試料内部まで拡散しません。水素を内部に侵入させるには、水素環境下で鋼材を高温にして水素の拡散性を高める必要があります。この水素拡散性を利用した水素チャージ方法が「高温高圧水素暴露法」です。
最近、この手法で鋼材中に水素をチャージし、その後、大気中での低歪引張試験が実施されています1)。しかし、この高温高圧水素暴露法は試験装置も限定され、大がかりのため汎用的に活用できません。これに対して、当社では高圧環境を必要としない、電気化学的な「高温陰極チャージ法」による簡易な水素チャージ技術を考案いたしました。
高温陰極チャージ法によるオーステナイト系SUS鋼(SUS316鋼)への水素導入した一例を図1に示します。約2mm厚のSUS316鋼試験片に対して、わずか6日間の水素チャージ(電解条件A)において、最大濃度30ppm程度の水素の導入を確認しました。本手法では電解液や電解条件を変えることにより、更なる水素量増加が可能です。
- 本手法を前処理に利用した大気中での材料物性試験(SSRT)による水素脆化評価が可能です。
- 水素チャージ量やチャージ温度等は予備試験等も踏まえてできる範囲でご希望にお応えします。
引用文献: 1) 松岡三郎 他 日本機械学会 vol.86, No.892, 2020
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