事例集

動的粘弾性測定(Dynamic Mechanical Analysis: DMA)について

粘弾性とは、力を加えたときにバネの様に変形のエネルギーを貯蔵する性質（弾性項）と内部で変形のエネルギーを損失させる性質（粘性項）の両方が組み合わさった性質です（図2）。

DMA測定では、高分子材料に正弦波ひずみを与えた時のひずみと応力の位相差から材料の粘弾性評価ができます（図1）。

DMA測定により高分子材料の貯蔵弾性率（図2左；弾性項）や損失弾性率（図2右；粘性項）を測定することができ、ガラス転移温度、架橋密度などを確認できます。これらから、高分子材料の制振性、防音性、劣化状態などを評価できます。

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  項目	仕様
  温度範囲	-150℃～400℃
  周波数	0.1Hz～1000Hz
  動歪み	0.1μm～100μm
  動荷重	0.001N～10N
  測定モード	引張、曲げ、圧縮

DMA測定によるゴムの架橋密度測定事例

架橋ゴムは、架橋密度の大小や劣化による架橋切断が起こると、試料間に弾性の差異が生じます。式(1)に架橋密度と動的弾性率の関係式を示します。DMA測定により得られた貯蔵弾性率と測定温度から架橋密度n(mol/cc)を算出できます。架橋密度を測定することで、材料の初期不良や劣化について評価を行います。

• 【架橋密度と貯蔵弾性率の関係式】

  n=E'/3RT……………式(1)

  n：架橋密度(mol/cc)

  E'：貯蔵弾性率(Pa)

  R：気体定数(=8.31 Joul/mol・K)

  T：絶対温度(K)

  

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  n=E'/3RT

  =33.8×10⁷(dyn/cm²)／3／8.31×10⁷(dyn・cm/mol・K)／(273.15+25)(K)

  =0.00454(mol/cm³)

  ※ｎは単位体積あたりに存在する架橋分子（この場合硫黄S₂）の数