事例集
オーステナイト系ステンレス鋼の高温水素チャージ法を用いた内部水素低歪速度引張試験(内部水素SSRT試験)
高温高圧水素曝露に代わる高温チャージを利用した内部SSRT試験をご提案いたします。
オーステナイト系ステンレス鋼の水素脆化
オーステナイト系ステンレス鋼は低温液体水素タンクや、水素ステーション用の鋼材として採用されています。低温水素環境下では水素侵入は少ないと考えられますが、製造時や常温での点検時などに水素が侵入し、その後低温で長期間使用されることにより、水素脆化を起こす可能性があります。
新高温水素チャージを利用した内部水素SSRT試験
これまでオーステナイト系ステンレス鋼中に水素を大量に導入させるためには、高温高圧水素環境下で試験片を曝露させる必要がありました。しかし、高温高圧水素曝露法は簡易でなく、試験装置も限られ、汎用的に活用できません。そのため、当社では、簡易な高温陰極チャージ法による水素チャージ技術(高温陰極チャージ法)を開発いたしました。ここでは、この方法を用いて内部水素SSRT試験を行なった事例をご紹介いたします。
試験条件を以下に示します。
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高温陰極チャージ条件
- 電解液: 非水系有機溶媒
- 電流密度: 1mA/cm²
- 温度: 130℃
- チャージ時間: 6day(144hr)
SSRT条件
- 試験温度: RT, -40℃
- 引張試験速度: 0.01 mm/min
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高温チャージで水素導入した試験片の内部水素SSRT試験結果(RT, -40℃)
低温(-40℃)でのSSRT試験は常温でのSSRT試験と比べ、著しく脆化しました。一般に水素脆化感受性は低温200Kに近づくにつれ高まる傾向があり1)、その傾向とも一致しました。
このように、オーステナイト系ステンレス鋼の場合は水素拡散が殆どがないので、試験中に水素を導入せずとも、内部水素SSRT試験でも十分に評価できます。さらに、高温陰極チャージ法であれば短時間で水素を導入できるため、高温高圧水素曝露試験法より多くの試験材の評価が可能になります。
1) 福山誠司ら: 日本金属学会誌第67巻第9号(2003)456-459
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