事例集
抵抗スポット溶接部のLME割れ感受性評価試験(LM-CAST試験®)
自動車用Znめっき鋼板の抵抗スポット溶接部に発生するLME割れ感受性を定量的に評価できます。
抵抗スポット溶接部のLME割れとLM-CAST試験®の特徴
自動車用Znめっき鋼板の高強度化にともない、その抵抗スポット溶接部にLME割れ(Liquid Metal Embrittlement Cracking、液体金属脆性割れ)が発生する場合があります。LME割れは溶接加熱によって溶融したZnめっき層が溶接過程で生じる引張変形下で粗大化した母材HAZ部のオーステナイト粒界に沿って侵入することによって発生する割れです。
現在、実施工を模擬した手法でLME割れの評価が行われていますが、この試験方法では定量的な評価が困難です。LM-CAST試験®は、溶接過程の任意のタイミングで制御された歪を付与することによって、LME割れが発生する歪と温度の範囲を特定する方法であり、これによってLME割れ感受性を定量的に評価できます。
LM-CAST試験®の概要
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LM-CAST試験®の概要
2枚重ねの抵抗スポット溶接において、
- 板間Gap=0、電極クリアランス=0、電極打角=0˚として外的な力学的因子を排除して溶接します。
- 溶接中の任意の時刻で下板に制御可能な曲げ歪を付与します。
- 割れ発生位置の熱履歴から割れ発生温度範囲を評価します。
- 曲げ歪量を変えて上記1~3を繰り返して実施し、LME割れが発生する歪-温度領域 (LSTR : LME cracking Strain & Temperature Range) を求め、これによってLME割れ感受性を定量評価する
LM-CAST試験®における抵抗スポット溶接部への
曲げ歪付与曲げ歪付与装置の概要を図1に示します。本装置は抵抗スポット溶接機の電極部位と曲げブロックおよびヨークで構成されています。
曲げブロックは固定された下電極側に組み込まれており、ヨークを急速に降下させることで曲げブロックの曲率半径に応じた曲げ歪を溶接部を含む評価鋼板表面に付与できます。また、ヨークは溶接機の通電・加圧力制御信号と同期させたサーボモータ式アクチュエーターで駆動しているため、溶接冷却過程における任意の設定タイミングで曲げ歪を付与できます。
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図1 抵抗スポット溶接部への曲げ歪付与装置
LM-CAST試験®によるLME割れ感受性の評価例
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LM-CAST試験®による抵抗スポット溶接部のLME割れ感受性評価例として、高強度Znめっき鋼板(Lab.試作980MPa級GA鋼板)のLME割れが発生する歪-温度領域(LSTR)を図2に示します。
さらに、異なる鋼種についても同様にLSTRを取得することで、LME割れ感受性の鋼種間比較も可能となります。
【参考】
本件に関する技術内容は下記学会にて発表しています。
詳しくは予稿概要をご参照下さい。三宅他 : 曲げひずみ付与によるZnめっき鋼板の抵抗スポット溶接部LME割れ感受性評価方法 (第1報 & 第2報)、溶接学会全国大会講演概要、第113集 (2023)、講演番号104 & 105、pp.10-11 & 12-13
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図2 LM-CAST試験®による980GA鋼板のLME割れ感受性評価例(LSTR)
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