プレスリリース
2025年05月19日
JFEテクノリサーチが水電解1000時間連続評価設備を独自開発
〜水素社会実現に向けて、CO2を排出しない水素製造の安定供給と技術実用化を加速〜
JFEテクノリサーチはこのたび、アニオン交換膜(AEM: Anion Exchange Membrane)を用いた水電解の長期連続運転評価設備を独自開発しました。環境に優しい水素製造技術を実現する水電解技術の鍵となるセル構成部材の評価をワンストップサービスで提供する体制を整えております。
地球温暖化への対応が求められる中、CO2を生じないエネルギーとして水素が注目されています。しかし現在流通している水素は、化石燃料の改質や化学プラントなどから副次的に発生した水素の回収・精製で製造されており、この過程でCO2が発生するという問題があります。これを解消する水素製造技術として、再生可能エネルギー由来の電力で水を長期間安定して電気分解し(水電解)水素を製造する技術の実用化が課題となっています。
JFEテクノリサーチが開発した水電解連続運転評価設備は、水電解セルの性能に影響を与える不純物の混入を極限まで排除したことによって、1000時間以上もの長期の性能評価が可能となりました。従来できなかった電極材料やAEMセル構成材料の劣化解析、長期耐久性の実証など、水電解技術の高効率化や長期耐用といった実用化に向けて有用なデータを採取できるようになります。
JFEテクノリサーチでは水電解セルの性能評価に加えて、セル構成部材の試作サービスや、各種部材の機械的、電気的、化学的性状分析などもあわせ、水電解にかかわる各種部材、触媒メーカーや電解システム開発メーカー、水電解ユーザーに対してワンストップでサービスを提供し、水電解技術の研究開発促進・発展への貢献を目指しています。
JFEテクノリサーチの水電解セル性能評価について
JFEテクノリサーチが提供するAEM水電解性能評価サービスは、下表のように部材単独評価からセル長期試験におよび幅広い評価メニューをそろえております。
評価法の分類 | 主な評価例 |
---|---|
(1)各種セル構成部材の評価 | セパレータの耐食性評価 |
塗布された触媒の分散状態解析 | |
セパレータ/多孔質輸送層(PTL)の使用環境下での機械的特性評価 | |
(2)組み上げたセルの評価 | 接液部の不純物を極力排除した環境下での電解特性評価 |
上記環境下での電圧変動が電解性能に与える影響評価 | |
(3)セルでの長期耐久性評価 | セルの1000時間以上長期連続電解性能評価 |
電極および触媒の加速劣化試験による性能耐久性評価(1000時間以上) |
今回、開発したAEM水電解の連続試験は、1000時間以上の長期にわたり連続運転、電圧サイクル試験等が実施可能で、かつ電流、電圧の連続記録、生成気体量、循環水流量、温度、などが計測できます。また途中に電流-電圧特性(電解性能)や電気化学インピーダンス(劣化診断)の取得をしながら、長期にわたるセル性能の監視が可能です。これによりセル運転劣化解析を運転データから支援できるとともに、試験後に各部位を調べ詳細に劣化を解析できるようにもなりました。特にAEM水電解はアルカリ溶液を使うことから、その連続試験装置には耐アルカリ性が求められますがJFEテクノリサーチが開発した連続試験設備は、配管等に不純物が入らないよう配慮するとともに、すべて耐アルカリ性の高い材料での構成にしてその要求に応えています。
詳細は下記ホームページをご覧ください。
https://www.jfe-tec.co.jp/water-electrolysis/
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