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No.23「微細構造を明らかにする物理解析(6)」

JFE-TEC News No.23号 膜厚の面分布を高解像度で迅速に測定できる『FiDiCa』 他 記事一覧

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No.23(2010年04月)
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No.23 膜厚の面分布を高解像度で迅速に測定できる『FiDiCa』 他

微細構造を明らかにする物理解析(6)~FE-EPMAによる微小部高分解能分析~

FE-EPMA とは

EPMA(Electron Probe Micro Analysis)は、金属・セラミックス・電子材料などさまざまな固体材料の評価・研究、品質管理に活用されている代表的な分析技術です。湿式分析では対応できない微小領域の分析に特に威力を発揮します。電界放出型の高輝度電子銃を搭載し、電子線を細く絞れるタイプのFE(Field Emission)-EPMAにより、従来の熱電子銃搭載EPMAでは不可能であった100nmエリアの元素分析が可能になりました。これまで鮮明に見えなかった鋼中の析出物の分析や、接合界面などの微小部分析を得意とします。

FE-EPMA による微小部の定量分析

図1は、フェライト系ステンレスにおける結晶粒界近傍のCrの分布を示しています。低倍マッピングにより、結晶粒界にCr炭化物が析出しており、周囲にCr欠乏層が形成されている様子がわかります。さらに、高倍マッピングで、数百nm幅の細長い析出物であることもわかります。従来装置では、特性X線強度を高めるため電流を大きくする結果、電子線が広がりマッピング像がぼやけるのに対し、FE-EPMAでは、高電流でも電子ビームを細く絞れるとともに、高感度な分析が出来るため、1μm未満の微細析出物を鮮明に識別できます。
図2に、結晶粒界に析出したCr炭化物の近傍の定量線分析結果を示します。Cr炭化物の周囲で、母相に比べてCrが約4 % 減少しています。このように、FE-EPMAを用いると、サブミクロン領域におけるわずかな濃度差を捉えることが可能になりました。
この他にも、鉄鋼材料における析出物の分析、電子部品のはんだ/めっき界面における合金化反応やめっき中の特定元素の挙動を定量的に捉える(相マップ)などの分析も可能です。当社では、鉄鋼で培った分析技術をベースに非鉄金属やセラミックスなどさまざまな材料の評価・分析に対応しています。

図1 フェライト系ステンレスにおける結晶粒界近傍のCrの分布(白線で線分析位置を示す)
図1 フェライト系ステンレスにおける結晶粒界近傍のCrの分布
(白線で線分析位置を示す)
図2 フェライト系ステンレスにおける結晶粒界近傍のCr, Fe の定量線ac分析結果
図2 フェライト系ステンレスにおける結晶粒界近傍の
Cr, Fe の定量線ac分析結果

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