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No.10 走査型電子顕微鏡で見た金属の疲労破面と延性破面

"KTEC News"は、旧・川鉄テクノリサーチ(株)が年4回発行していた小冊子です。バックナンバーとして掲載しておりますが、現在お取り扱いしていない製品・サービスの場合もございますので、ご了承ください。

上の写真は、左側が鋼の疲労破面を、右側が延性破面を、走査型電子顕微鏡を用いて2000倍に拡大して示したものである。このような破面の形態によって破壊の原因を調べることをフラクトグラフィーと呼び、近年、事故調査などに多く用いられている。

金属を無理にひきちぎると、破断部の周辺は局部的に延びてくびれを生じて破断し、いわゆる延性破壊を生ずる。したがって構造物などに金属を使うときは、それにかかる力を延性破壊の限界値の2/3とか1/2以下におさえて設計され、十分安全に使用できるようになっている。

しかしこのような場合でも、振動など反復する変動力が長期間にわたり作用すると、疲労破壊を生じ事故を生じることがある。例えば、数年前のジャンボ機の墜落は、地上と上空の気圧の差による変動圧力がアルミ合金製の圧力隔壁に繰り返し作用して、疲労破壊を起こしたものである。

左側の写真の疲労破面は、全面にストライエーションと呼ばれる細かい縞模様が見られる。これは疲労による破壊が、小さな応力変動の繰り返しにより矢印の方向に進行したもので、およそ0.5μmの幅をもった一つ一つの縞が、1サイクルの応力変動に対応する。孤の場合、疲労が1cm進行する間の応力変動の回数はおよそ2万サイクルである。

一方、右側の写真では前面にディンプルと呼ばれる網目状の模様が見られる。これは大きな塑性変形を伴って急激に破断したときにできた峰状の凸部がそのまま残ったもので、これが延性破壊であることを示している。

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