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No.16 走査型電子顕微鏡で見た方向性珪素鋼鈑の磁区

“KTEC News”は、旧・川鉄テクノリサーチ(株)が年4回発行していた小冊子です。バックナンバーとして掲載しておりますが、現在お取り扱いしていない製品・サービスの場合もございますので、ご了承ください。

方向性珪素鋼鈑のような強磁性体は、磁区と呼ばれる一種の磁石の集まりから成っている。

上の写真の白黒パターン(5.5倍撮影、2/3に縮小)は、走査型電子顕微鏡を用い、入射電子が磁区の自発磁化によりローレンツ力を受けて反射されることを利用してとらえた、方向性珪素鋼鈑の表面の磁区構造を示している。自発磁化の向きは白い部分で画面右を向いているとすると、黒い部分は反対に左を向いている。

写真1は消磁状態で、N-S磁石がその向きを反転させながら整列し、全体としては磁性を打ち消しあっている。この自発磁化の方向は結晶方位に依存し、外部磁場により強制的に向きを変えない限り結晶の磁化容易軸である〔100〕方向を向く。方向性珪素鋼鈑はその名が示すとおり、各結晶粒の〔100〕磁化容易軸が、鋼鈑の圧延方向(画面の左右の方向)から数度以内に揃った、まさに芸術的とも言える集合組織を持つ磁性材料である。

また、軟磁性材料である方向性珪素鋼鈑は、外部の磁場により容易に磁化されなければならない。すなわち、反転整列した磁石の境界が容易に動いて外部磁場に応えなければならない。  写真2と3は、外部磁場を画面左に向かって加え、それぞれ1.0、1.7ステラ(T)の磁束密度まで磁化したときの磁区写真を示す。黒の面積が増加し白が減少しているが、中には依然白が支配的な結晶粒も見られる。このような結晶粒は他に比べて〔100〕方向のずれが大きいことを示している。1.9Tまで磁化すると(写真4)一方向に磁化されるため、ほぼ全面が黒で覆われる。

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