樹脂・複合材料の組成分析・構造解析

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溶融樹脂の残留応力評価

樹脂成形体の残留応力の評価 -その必要性と概要-

  • 樹脂の射出成形において、その過程で成形体内部に応力が発生し残存します。外部からの機械的な負荷によって樹脂成形体に発生する応力については、従来からの方法で計算が可能ですが、残留応力の程度を予測する信頼性の高い方法はありません。また、成形体に存在する残留応力は、成形体の性能や耐久性に影響するパラメーターであり、それを把握することは非常に重要です。
    残留応力を把握することから、その低減対策すなわち品質向上対策を検討することも可能となります。
  • 溶剤浸漬法では、特定の応力レベルで材料にクラックを発生させる薬品に樹脂製品を浸漬し、クラック発生状況を観察することにより、残留応力レベルを定量的に把握します。
  • 1/4楕円法では、楕円曲面に樹脂板を沿わせて固定する事により歪みを与え、その表面に樹脂の分子間力を低減する薬品を塗布し、クラックを発生させます。クラックが発生する臨界歪が算出でき、薬品の影響度を把握するのにも適しています。

環境応力亀裂の原因と試験の必要性

  • 樹脂の射出成形品は、溶融樹脂を高圧で金型内に充填し冷却固化させて製造されます。成形品は、部位により圧力、成形収縮率、金型内流動時の分子配向、等に差異があるため、部材の中に引張、圧縮といった残留応力が残っています。
  • 残留応力が残っている状態で、ある種の外部環境物質(特に有機溶媒分子)が存在すると、樹脂の分子間力が低下し、クラックやクレイズ(※1)が発生・伝播して残留応力を開放させる現象が起こり、破壊に至ることがあるため、亀裂の発生しやすさを確認することが重要となります。
    ※1:高分子材料特有の変形降伏挙動で、クラックの前駆体とも考えられます。)

ASTMD-1693準拠のベントストリップ法により、樹脂板の環境応力亀裂試験を実施致します

  • 環境応力亀裂(ストレスクラック)の試験方法として、ASTM D 1693に規定されているベントストリップ法をご紹介いたします。
  • 試験片にノッチを入れます。この行為により薬液(外部環境物質)の浸透性が高まります。
  • 曲げ加工により樹脂板に過剰な残留応力を発生させます。
  • 過剰な残留応力を保持した状態の試験片を薬液(外部環境物質)に浸漬し、試験片に亀裂が入るまでの時間を測定します。

試験条件

  • (1)試験片およびノッチの規定

    試験温度 試験片厚 C
    mm
    ノッチ深さ D
    mm
    50℃ 1.84~1.97 0.30~0.40
    3.00~3.30 0.50~0.65
    100℃ 1.84~1.97 0.30~0.40
  • (2)試験片ホルダーの規定

  • (3)セット状態

試験片の状況

  • 試験片にノッチ加工実施

  • 曲げ加工実施

  • 薬液に浸漬後の亀裂観察

樹脂成形体の残留応力を評価する事により製品の品質向上が図れます。

溶剤浸漬法による評価事例

試験条件

  • 成形体材質:PC樹脂
  • 溶剤:MIBK/メタノール
  • 浸漬時間:1min

1/4楕円法による臨界歪測定

  • 試験片表面を観察し、クラック発生位置より、薬品塗布によりクラックが発生する位置の歪み量(臨界歪)を算出することができます。

    評価の目安

    臨界歪 0.3%以下 軽微な応力でクラックが発生する可能性大。
    0.3~0.7% 薬品との接触で白化やクラックが発生する恐れ有り。
    0.7%以上

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