プレスリリース
2026年10月29日
JFEテクノリサーチ、高品質な電極づくりを導く力学・電気特性変化の同時評価サービスを提供開始
粒子間ネットワークの変化を評価し、材料選定や配合・塗工条件の最適化を支援
JFEテクノリサーチ株式会社は、リチウムイオン電池(LIB)などの電池用スラリーにせん断を加えながら、レオロジー特性(動的粘弾性等)と交流インピーダンスを同時に測定する「電池用スラリーのレオ・インピーダンス測定サービス」の提供を開始いたします。本サービスは、電極を適切に塗工することが電池の性能向上と品質安定化に直結するという観点から、従来の粘度・粘弾性評価といった力学特性評価だけでは捉えられなかったせん断による導電ネットワークの変化を力学、電気特性の同時評価で捉え、液系LIBおよび硫化物系全固体電池における高品質な電極づくりと次世代電池の開発を支援します。
背景と課題
カーボンニュートラルに向けて、自動車の電動化や再生可能エネルギーの導入が進む中、LIBや全固体電池の高性能化、品質の安定化、生産性の向上が急務となっています。
電池の正極・負極は、活物質、導電助剤、バインダーなどを溶媒に分散させたスラリーを集電箔へ塗工し、乾燥・圧縮して形成されます。電池性能を安定させるには、電極内に活物質や導電助剤が適切に分散し、良好な導電ネットワークが形成された高品質な電極をいかに作れるかが極めて重要です。電極をうまく塗工できるかどうかが電極の性能向上や品質安定化、引いては電池の性能や品質を左右します。

スラリーに回転または振動によるせん断を加えながら、粘度、貯蔵弾性率などのレオロジー特性と、導電ネットワークの形成具合を示す交流インピーダンスを同時に測定
しかし、スラリーは塗工の際に加わるせん断によって内部構造が刻々と変化します。従来の粘度・粘弾性測定では、スラリーの流動特性や力学的な応答を把握できるものの、せん断に伴う導電ネットワークの変化(電気的特性の変化)を同時に捉えることは困難でした。このため、「塗工時のせん断によって力学特性と電気特性がどのように連動して変化するのか」を評価し、材料選定や製造条件の最適化につながる手法が求められていました。
提供サービスの特長
1.実工程を模した力学×電気の同時測定がもたらす粒子分散性変化の適切な把握
スラリーに回転または振動によるせん断を加えながら、粘度、貯蔵弾性率、損失弾性率などのレオロジー特性と、交流インピーダンスを同時に測定します。せん断に伴う力学的な応答と電気的な変化をダイレクトに結びつけることで、スラリー中の粒子間ネットワークの形成・解砕や分散状態の変化を多面的に推測、評価できます。
これにより、材料選定・配合の改良、混練や分散条件の検討、実際の塗工工程を想定した条件評価や品質安定化に向けたデータ取得など、お客様の開発、製造における各種条件検討の効率化を支援します。
2.硫化物系全固体電池スラリーに対応(大気非暴露環境)
窒素雰囲気下、露点-60℃の大気非暴露環境での測定が可能です。水分との接触を避ける必要がある硫化物系全固体電池用スラリーについても、特性や安全性を確認の上、評価を検討できます。
全固体電池の実用化に向けて、電池メーカー、自動車メーカー、電池材料メーカーおよび製造装置メーカーにおける材料開発、電極設計、生産技術開発、品質安定化を支援します。
3.材料選定・配合からセル性能評価までの一貫サポート
レオ・インピーダンス測定に加えて、電池用スラリーの試作、電子顕微鏡観察、ラマン分光分析、塗工膜構造解析、電極・セル性能評価などを組み合わせた総合的ソリューションとして提案。長年LIBの研究開発を試作、評価、解析の技術でサポートしてきたJFEテクノリサーチが、課題の根幹にある原因究明や条件絞り込みをトータルで支援します。
提供サービスの概要
1. 主な評価仕様(対応可能範囲※)
| 対象試料 | 液系LIB用スラリー、硫化物系全固体電池用スラリー |
|---|---|
| せん断条件 | トルク範囲:5 nNm~200 mNm 角速度範囲:0~314 rad/s 角周波数範囲:10-7~628 rad/s |
| 温度範囲 | -20~+200℃ |
| 雰囲気 | 大気、窒素雰囲気下、大気非暴露環境(窒素雰囲気下、露点-60℃) |
※対象試料の組成、溶媒、固形分濃度、揮発性、腐食性、安全性および測定治具との適合性により、実施可能な測定条件と範囲は異なります。
2. 測定事例
液系LIB用スラリーにせん断ひずみを付与しながら交流インピーダンスを測定し、各ひずみ条件におけるレオロジー特性と交流インピーダンスの相関を評価しました(図2参照)。
当該試料では1%以上のひずみを加えた条件で損失弾性率が貯蔵弾性率を上回る力学的挙動とインピーダンス値増加という電気的変化が確認され、せん断による粒子間ネットワーク解砕の可能性が示唆された。
今後の展開
JFEテクノリサーチは今後、実際の混練・搬送・塗工工程をより具体的に模した測定条件の拡充と、得られたデータの定量解析を進めます。さらに、大気非暴露下での材料分析や塗工膜の構造解析などの各種分析とセル性能評価を連携し、材料・配合から電池性能までを一貫して評価できるサービスへと発展させながら、次世代電池の実用化と製造業の競争力向上に貢献してまいります。
詳細については下記ホームページをご覧ください。
電池用スラリーのレオ・インピーダンス測定・分散性評価
https://www.jfe-tec.co.jp/solution/battery/prototyping/coating-materials/rheo-impedance/
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