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No.33「電池材料の化学分析技術(1)」

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No.33(2012年10月)
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No.33 電池材料の物理解析技術(2) 他

電池材料の化学分析技術(1)~10mgレベルの微少量試料における主成分分析~

微少量試料の高精度分析技術

リチウムイオン二次電池の劣化解析において、正極、負極の構成物質である電極活物質の組成比やLi量を正確に把握することは大変重要です。さらに、研究開発段階においては、小型のコイン電池を用いて性能評価する場合が多く、その際には、試料の量が限られるため、数mgの試料に対して高精度な分析が必要となります。

当社では、劣化解析を行う際は、大気非暴露下で電池の解体、秤量などを行うことで試料の変質を防ぎ、秤量誤差を可能な限り低減する方法を構築しました。それに加えて、測定に用いるICP発光分光分析法や原子吸光分析法において、当社のこれまでの経験をもとに、分析に供する試料の重量や電極の組成に応じた最適分析条件を選定することにより、試料10mgレベルでの高精度分析を可能にしました。

初回充放電時の負極の状態解析事例

図1 黒鉛系負極のLi存在比
図1 黒鉛系負極のLi存在比

図1に、初回充放電による黒鉛系負極中のLi存在比の変化を示します。縦軸はLi定量値とC濃度より求めたLi存在比を、横軸は100%充電時に対する充電容量(mAh/g)の割合を示しています。

充電に伴い負極中のLi存在比は直線的に増加します。また、図中のAは100%充電を行ったのち0%まで放電(1サイクル充放電)させた電極を分析した結果です。充放電前には存在しなかったLiが確認されました。これは、充放電後の負極中には不可逆なLiが存在することを示しています。

おわりに

正極についても同様に微少量分析技術を確立しており、活物質の組成比やLi量を高精度に分析することができます。このように電池解体技術と分析技術を組み合わせることで、小型電極の場合であっても、過酷な温度環境下での試験後やサイクル試験後のLi量の変化を分析することが可能となりました。ご興味がある場合は、お気軽にご相談下さい。

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