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No.77「磁性材料の最近の評価」
JFE-TEC News No.77号 磁性材料のソリューション特集号 記事一覧
No.77 磁性材料のソリューション特集号
磁性材料の最近の評価~モータの高効率化に向けて使用される材料の機械的特性評価~
Mechanical Property Evaluation of Materials Used to Improve Motor Efficiency
なぜいまこれが?
昨今EVの航続距離延長のためモータの小型、高出力、高効率化が求められ、材料とモータ設計の両面から検討が進められています。注目されている材料として、ナノ結晶軟磁性材料とボンド磁石が挙げられます。
ナノ結晶軟磁性材料はFe基のアモルファス相中に、ランダム配向した強磁性相であるナノ結晶粒(10~20nm)が分散した材料でこれまで以上に小さな磁界で高い磁束密度を確保する特徴を有しています。一方、ボンド磁石は樹脂と磁粉を組み合わせた磁石で、粉末状の磁性材を焼き固めた磁石焼結よりも軽量で、電気抵抗値が高いため熱損失が少なく、小型・薄型・複雑な形状への加工等の特徴を有するため注目されています。
これがポイント!
ナノ結晶軟磁性材料は、非常に硬く高強度であり、脆性が強いため機械的特性を評価する際に必要とされる試験片加工が難しい材料です。さらに、引張試験や疲労試験の際に把持部近傍から破断しやすいため試験片加工や把持方法に工夫を要した機械的特性の評価が求められます。
ボンド磁石の技術課題は、強度と磁気特性の両立になります。磁気特性を高めるためには、磁粉と樹脂で成形する際に磁粉の向きを揃えて異方性を持たせるが、高強度な樹脂を使うほど磁粉の向きは揃え難いという相反性があります。積層ローターコアには様々な形状のボンド磁石が埋め込まれますが、磁石形状に合わせた押抜き治具を設計・製作することにより押抜き荷重を評価することが可能です。さらに接着剤やボンド磁石の劣化状況を評価することも可能です。表1に当社で実施可能な特性評価内容をまとめました。一例として図1、図2にナノ結晶軟磁性材料の疲労強度試験結果を示しました。
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試験条件 静的破断荷重 180N 応力比 0.1 周波数 20Hz 板厚 22μm 並行部幅 12.5mm
図1 ナノ結晶軟磁性材料の疲労強度特性例 -
図2 ナノ結晶軟磁性材料の疲労強度試験後外観
対象材料 | 試験項目 |
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ナノ結晶軟磁性材料
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ナノ結晶軟磁性材料の試験片加工 |
ナノ結晶軟磁性材料の機械的強度特性評価 (0.2% 耐力、引張強さ、ヤング率、伸び、ビッカース硬さ |
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ナノ結晶軟磁性材料の疲労強度特性評価 | |
ナノ結晶軟磁性材料の断面観察 (レーザー加工後の入熱範囲確認) | |
ボンド磁石
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ボンド磁石の引張、曲げ等の強度試験 |
ボンド磁石の疲労特性評価 | |
積層ローターコアに充填された磁石の押抜き荷重測定 (複雑形状の磁石に対応可能) |
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ボンド磁石や接着剤の劣化解析 |
今後、新たな評価法についても検討いたしますのでお気軽にご相談下さい。
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