No.14「高速変形試験(2)」

No.14
高速変形試験(2)~高速変形に伴う弾性衝撃波~

今回は、高速変形試験に特有の問題について説明します。

引張試験機の構成

通常の引張試験機は基本的に、試験片への変形付与(数mm/分の速度)のための駆動装置、試験片の変形荷重を測定するロードセル(弾性体に歪ゲージを貼り、材料の負荷荷重に比例した弾性変形を歪ゲージ出力として計測)、変形量を測定する伸び計で構成されています。
 高速変形試験でも、試験機の基本構成は似ていますが、高速変形では非常に短い時間で変形が終了するため、高速の駆動装置、伸びや荷重を計測する高速のレコーダーが必要となることに加え、静的試験のものとは大きく異なるロードセルを使用する点に違いがあります。

高速変形試験に特有の弾性衝撃波

図1は、軟鋼板を油圧サーボ引張試験機を用い、歪速度300/sで引張った場合の応力‐歪曲線です。応力‐歪曲線は、材料に力を加えて変形させる時の力(応力)と材料の伸び(歪)の関係を示すもので、本来、応力は歪とともに徐々に増大して滑らかな曲線になるはずです。図1では、応力が大きく振動していますが、これは高速変形に特有の現象で、弾性衝撃波に起因するものです。
 図2は、ロードセルの変形の仕方を模式的に示したものです。静的試験では材料変形が数分のオーダーで進行し、そのためロードセルは均等に弾性変形します。一方高速変形では例えば0.5ms程度の短時間で変形が終了してしまうので、ロードセルは均等に変形するのではなく、次のような変形が起こります。試験開始と共にロードセル端部に材料の変形荷重に比例した歪が生じますが、この歪は一定の速度で弾性波として伝わります。その伝播速度は鋼の場合約5000m/sです。他端に達した弾性波は反射し、符号を反転して戻ってきます。このように弾性波はロードセル内で符号を+-反転しながら往復し、この波をロードセル内の歪ゲージで計測した結果が図1の振動になります。静的試験では、変形速度が遅くロードセル内の歪分布が均等となっているためこのような振動は現れません。
 高速変形試験では、このような応力振動を避けるために、少し変わった方法で荷重を計測します。次回では、その方法について説明します。

図1 高速引張り試験時に現れる応力-歪曲線上の応力振動
図1 高速引張り試験時に現れる応力-歪曲線上の応力振動
図2 ロードセル模式図(グレー部は弾性変形領域)
図2 ロードセル模式図(グレー部は弾性変形領域)

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