No.27「高速変形試験(4)」

No.27
高速変形試験(4)~高速変形時の加工発熱分布の計測技術~

前号に引き続き、高速の変形現象を評価する特殊技術の適用例についてご紹介します。今回は、構造体の高速変形試験における加工発熱分布の計測技術について述べます。

破壊現象の予測精度向上

前号でも述べたように、破壊現象を予測するためにシミュレーション計算を駆使した性能評価技術(CAE:Computer Aided Engineering)の適用が主流になっています。しかしながら、複雑な現象では、境界条件、構成部材の材料特性などが適切に設定されていないと、CAEの解析結果と実際の現象が一致しないことが多々あります。そのため、CAEの解析精度を向上させるための技術開発が進められており、実際の破壊現象を観察して定量的に評価することが必要不可欠となっています。

塑性変形量の定量化

材料が塑性変形をする際には、外部より加えられたエネルギー(塑性仕事)の殆どは熱(加工発熱)に変換され、材料の温度を上昇させます。温度変化から加工発熱量を捉えることができれば、微小な領域での塑性変形量(≒応力×ひずみ)を精度良く算出することが可能となります。しかしながら、熱は時間とともに拡散するため、塑性変形による加工発熱が発生した瞬間の温度変化を極めて短い時間内に精密に計測する必要があります。

高速変形時の加工発熱分布計測

当社は高分解能(0.001K)で高速応答(80×64ピクセルで1900コマ/sec)が可能な高性能赤外線カメラを適用して、衝撃荷重により塑性変形する構造体の加工発熱分布を測定する技術を開発しました。六角形断面中空部材の落重試験機による軸圧壊試験に適用した例を図に示します。それぞれの時刻における赤外線カメラによる温度分布画像と高速度ビデオカメラによる画像を併記しています。変形が進行するにつれて試験体の温度分布が変化し、塑性ひずみの伝播経路が一目で判断できます。本方法による温度分布の計測結果と、CAEに於ける塑性変形および温度の連成解析結果を比較することで、CAEの解析精度向上が図れます。

図 六角形断面部材軸圧壊試験における加工発熱の解析例

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JFEテクノリサーチ株式会社 営業本部

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