耐候性評価
ACTE®試験(ISO 16539B法、JIS G0594 D法)
実使用環境における各種金属材料の耐食性を適正に評価できます。
ACTE®は、JFEスチール株式会社の登録商標です。
従来の腐食促進試験法の課題
多様な腐食環境下で長期間使用される金属材料には、実使用環境下での高度な耐久信頼性が求められます。想定した設計寿命に応じた耐食性を有する材料を選定することが重要であり、実際に製品が使用されている環境や腐食実態を踏まえた腐食促進試験法が不可欠です。
従来、金属材料の耐食性評価には、塩水噴霧試験(SST)や塩水噴霧と乾燥・湿潤条件を組み合わせた複合サイクル試験(CCT)などの腐食促進試験法が使用されていますが、SSTは実使用環境における腐食との相関性が乏しく、CCTと実使用環境における腐食との相関性も明確になっていませんでした。
大気腐食促進試験法ACTE®
ACTE®の開発
実使用環境における金属材料の腐食実態と従来の腐食促進試験法の課題を踏まえて、実使用環境における腐食との相関性が高い大気腐食促進試験法ACTE®が開発されました1、2)。
参考文献: 1)材料と環境、55、No.8、p.356(2006) 2)JFE技報,No.12,p.36(2006).
※ACTE®:Accelerated Corrosion Test for Electric Appliances
ACTE®の試験条件(図1)
- 実使用環境を模擬して、試料表面に塩分を付着させる工程と、乾燥・湿潤のサイクルを繰り返す工程で構成します。
- 海塩の影響を考慮して人工海水を使用します。
- 塩水スプレーにより試験片表面に塩水を均一に付着させ、塩分付着量を制御します。
- 想定する腐食環境に応じて塩分付着量を設定できます(融雪塩散布地域、海岸地域~内陸部、など広範囲の腐食環境を想定)。
- 塩分付着量を数水準に設定し、塩化物の影響を同時に評価できます。
- 絶対湿度一定の条件で乾燥・湿潤のサイクルを繰り返します。
試験材料
- 表面処理鋼(めっき鋼、塗装鋼、など)、炭素鋼、低合金鋼、ステンレス鋼、アルミニウム、マグネシウム、などの各種金属材料に適用できます。
重防食塗装の耐食性評価事例
重防食塗装の長期耐食性評価
橋梁などの鋼構造物には重防食塗装が適用され、10年以上の実使用期間における塗装寿命評価が求められています。大気腐食促進試験法ACTE®(ISO16539 B法、JIS G0594 D法)は実使用環境における腐食と相関性の高い試験であり、重防食塗装の耐食性を適正に評価できます。
供試材(塗装鋼板) |
|
---|---|
腐食試験条件 |
|
結果
- 図2にACTE®後の塗装試験片の外観写真例を、図3にACTE®試験結果を示します。塗装種によって最大塗膜膨れ幅に差が認められました。
- 図4にACTE®と沖縄暴露試験の相関性を示します。両者に相関性が認められ、沖縄暴露試験に対するACTE®の促進率は約9.5倍でした。一方、図5に示すようにSSTは沖縄暴露試験との相関性が低いことがわかります。
まとめ
- 実使用環境における腐食と相関性の高いACTE®により、実使用環境における重防食塗装の耐食性を適正に評価できます。また、同時に重防食塗装の大気暴露試験を行い相関性を比較することも可能です。
大気腐食促進試験法ACTE®の規格化
2013年3月1日付でISO国際規格化:ISO16539 Method B
ISO16539:Corrosion of metals and alloys -Accelerated cyclic corrosion tests with exposure to synthetic ocean water salt-deposition process -"Dry" and "wet" conditions at constant absolute humidity
2019年6月20日付でJIS規格化:JIS G 0594 D法
JIS G 0594:表面処理鋼板のサイクル腐食促進試験方法
関連リンク・関連記事
JFE-TEC Newsバックナンバー
- No.17(2008年10月)表面処理製品の耐久寿命評価(1)~めっき製品の耐久寿命評価~
このページに関する
お問い合わせはこちらから
- JFEテクノリサーチ株式会社 営業本部
- 0120-643-777