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No.82「次世代電池研究開発のための試作・評価・解析技術特集(2)」
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No.82 次世代電池特集号
次世代電池研究開発のための試作・評価・解析技術特集(2)~全固体電池用合材の圧粉成形過程におけるスプリングバック評価と電気抵抗測定~
Spring-Back Evaluation and Electrical Resistance Measurement During Compression Process of All-Solid-State Battery Composite
なぜいまこれが?
全固体リチウムイオン二次電池は、固体電解質(SE)、活物質、導電助剤等、粒径と電気伝導性の異なる粒子を圧縮することで圧粉成形されます。
成形された電池の性能は、電気抵抗測定により評価されます。しかしながら、電気抵抗測定は、成形前後のタイミングに限られ、圧粉成形中のリアルタイムな測定は行われていません。圧粉成形過程は、粒子の高密度化(パッケージング)や、圧粉成形体の形状復元(スプリングバック)等の経時的な挙動を含んでおり、これら挙動に伴う電気抵抗値の評価が重要となります。
これがポイント!
当社では、露点温度-60℃以下に制御可能なグローブボックス内に、ピストンおよび絶縁性シリンダー、デジタルマルチメーターから成る試験系を構築しました(図1参照)。
表1 試験装置仕様 露点温度 -60 ℃以下 成形ペレット径 Φ 5 mm ※調整可 圧力 最大600 MPa 程度 電気抵抗測定 DC、AC(検討中) 図1 大気非暴露環境中の圧粉成形と電気抵抗測定系
SE、正極活物質、導電助剤から成る正極複合体試料を絶縁シリンダー内に投入し、直流(DC)電流を通じながら圧力を加えて圧粉成形し成形力と電気抵抗とを同時かつリアルタイムで測定しました。その結果、応力-変位線に同期した電気抵抗値-変位線を得ることができました。
電気抵抗値-変位線の勾配は、低応力域における粒子間距離の減少に伴う界面抵抗の低下(一次)と、高応力域における導電助剤の作用発現に伴う電気抵抗の低下(二次)に由来すると考えられる、二次的な変化を示しました。
更に、最大応力負荷後の除荷時に生じるスプリングバックに伴い、電気抵抗値が増加することが明らかとなりました(図2参照)。

以上、開発された本技術により、圧粉成形過程のイベントに伴う電気抵抗値の変化を特定することが可能となります。
電池材料開発における圧粉成形体のスプリングバック挙動の確認や製造条件選定の手法として、是非当社サービスをご利用下さい。
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