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No.82「次世代電池研究開発のための試作・評価・解析技術特集(3)」
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No.82 次世代電池特集号
次世代電池研究開発のための試作・評価・解析技術特集(3)~全固体電池向け固体電解質成形品の圧縮強度ならびにポアソン比計測~
Compressive Strength and Poisson's Ratio Measurement of All-Solid-State Battery Composite
なぜいまこれが?
EVの安全性や航続距離向上のため、可燃性の有機電解液の代わりにリチウムイオンを伝導する硫化物系固体電解質(以下SE)を用いた全固体リチウムイオン二次電池(以下全固体LIB)に大きな期待が持たれています。全固体LIBには図1に示すような複数の接触面が存在します。また、充放電時に負極活物質の影響で膨張収縮が起こり、電池内部に負荷がかかることがあります。その際に活物質の割れやSE/活物質界面の剥離が発生し、全固体LIBの耐久性が低下することが知られています。そのためSE成形材をはじめ全固体LIB材の圧縮特性を把握することは極めて重要です。

これがポイント!
当社では汎用の加圧装置を用いて大気非暴露環境でSE成形材の作製が可能です。
また、作製した7 mm角の微小試験片を使用し、大気非暴露槽を有した荷重容量50 kNの強度試験機と高解像度かつ高倍率レンズを用いた2次元DIC(Digital Image Correlation)撮像システムを組み合わせることで、加圧力1000 MPa相当の圧縮強度試験とポアソン比計測を実現しました。図2に試験機外観とサンプル設置部、表1に装置仕様をまとめました。
図2 装置外観
(左:試験機全体、右:サンプル設置部)表1 装置仕様 設定露点 露点-60℃以下 試験雰囲気 不活性ガス(Ar) 試験モード 圧縮 電気抵抗測定 50 kN イメージスケール 2~6 µm/pix 画角 8 mm × 6 mm ~ 24 mm × 18 mm
図1に示すようにSE成形材は、複数の粉体を加圧成形した材料であるため、破壊までの変形量が非常に小さく脆性を示します。そのため試験機のストローク変位や一般的な伸び計などでは圧縮時の縦・横変位の計測が困難です。図3に試験機を使用したSE成形品の強度試験ならびにひずみ計測の一例を示しました。撮像面に独自開発のランダムパターンを大気非暴露環境下で塗布し、圧縮強度測定するとともにDIC計測を実施しました。図3のような仮想点を設定することで、仮想点間の変位やひずみを計測可能としました。

対象の装置はお客様のご要望に合わせて合材成形品の評価にも適応可能ですのでお気軽にご相談下さい。
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