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No.83「電池材料評価」
JFE-TEC News No.83号 EV 特集号 記事一覧
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No.83 EV 特集号
電池材料評価〜全固体電池正極活物質表面のLiNbO₃コーティング被覆状態の評価〜
Evaluation of LiNbO₃ Coating Distribution on All Solid-State Battery Cathode Active Materials
なぜいまこれが?
全固体電池の耐久性向上を狙って電極活物質粒子にコーティングを施す技術が注目されています。直径数ミクロンの粒子表面を、ナノメートルオーダーの厚さで均一にコーティングすることが必要ですが、その被覆状態を定量的に評価する方法がありませんでした。
これがポイント!
当社は、最新の電子顕微鏡技術※と画像処理技術を組み合わせ、電極活物質表面に形成されたコーティング層の分布を定量的に評価する技術を確立しました(特許出願中)。
LiNbO3がコーティングされたNMC622(LiNi0.6Mn0.2Co0.2O2)正極活物質の評価例を図1に示します。膜厚5nm以上のコーティング領域を反射電子像と重ねて示し、各像の右下に5nm以上のコーティング被覆率を記載しました。狙い膜厚が6~7nmの試料では5nm以上の被覆率は50%程度であり、狙い膜厚を17~20nmとすることで粒子のほぼ全面が5nm以上のコーティングで覆われることがわかりました。コーティング分布と粒子形状を直接対応付けることでコーティングされにくい粒子の特徴を把握することも可能です。図1の評価領域内の正極活物質粒子数は200個程度です。多くの粒子を一度に評価することで、代表性の高いデータを提供します。このようにコーティングの被覆状態を数値化・可視化して評価することが可能となりました。
- コートなし

- 狙い膜厚:6〜7nm

- 狙い膜厚:7〜10nm

- 狙い膜厚:17〜20nm

本技術は電極活物質粒子に限らず凹凸を有する様々な材料表面のコーティングに適用可能です。ご興味のある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
- 開発した技術は、電界放射型走査電子顕微鏡(FE-SEM)と試料直上型の高感度エネルギー分散型X線分光器(EDS)「Unity」を利用しています。
後者の最新EDSはオックスフォード・インストゥルメンツ社が開発したもので、連携により当社が業界で初めて実装しました。
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